わずか1カ月でまた崩れた証券市場…米国からの「景気低迷の恐怖」再襲撃
米国製造業指標が悪化、全世界に連鎖して急落 8月の失業率が4.2%を超えた場合は、再び動揺
8月2日、米国の7月の失業率が4.3%となり、2021年10月以降で最高値となったと米国労働省が発表した。それを受けて3日、世界の株式市場に投げ売りを引き起こした「米国の景気沈滞の恐怖」が米製造業の景気指標の発表とともに再び沸き上がった。ニューヨーク証券取引所のナスダック指数は3.26%下落し、4日に開かれたアジア市場では、日本の日経株価指数が4.24%、韓国のKOSPI指数が3.15%急落。市場では6日に発表予定の米国の失業率指標に神経を尖らせている。 この日の株価急落は、全米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が引き金となった。市場の予想値(47.5)に達しない47.2だった。この指標は50より高ければ景気拡大、50より低ければ萎縮を意味するが、5カ月連続で50を下回り、製造業の景気の萎縮局面が続いていることを示した。S&Pグローバルが発表した8月のPMIも47.9で、前月(49.6)に比べて低かった。 8月初めには、7月の製造業指標の悪化に続き、失業率が前月の4.1%から4.3%に上昇。これを受け、いわゆる「サーム・ルール」(失業率の3カ月平均が直近の12カ月の最低値より0.5ポイント高い場合、景気低迷のリスクが高まるという意味)が現実化しているという懸念が広がり、株価が暴落した。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)がサーム・ルールに合致しても必ずしも景気低迷がくるわけではないと表明し、7月に米国のテキサス一帯を強打したハリケーンなどによる一時的な現象とみる分析が出てくると、景気後退への懸念は収まった。その後、株価は下落幅をほぼ回復したが、3日の製造業指標が「ブラック・マンデー」のトラウマを復活させた。 米国証券市場では、成長の期待によって株価が大幅に上昇した人工知能(AI)半導体企業のエヌビディア(-9.53%)、韓国証券市場ではSKハイニックス(-8.02%)、サムスン電子(-3.45%)が大きく下落。有価証券市場では、外国人投資家が9862億ウォン(約1100億円)、機関投資家が7307億ウォン(約790億円)分を売り越した。 主な経済指標の予測プラットフォームであるトレーディング・エコノミックスは、8月の米国の失業率に対する市場期待値を4.2%と集計している。先月より0.1ポイント低い値だ。予測値を下回り、「サーム指標」がふたたび0.5ポイントを下回れば、市場の沈滞への懸念は多少は解消される。しかし、期待値を上回る4.3%と集計され、ふたたびサーム・ルールを満たすことになれば、もう一度市場が揺れ動くことになりうる。 6日に発表される雇用指標は、FRBの政策金利の引き下げ幅を左右する核心要素ともみられている。FRBが17~18日に開かれる連邦公開市場委員会での利下げを事実上予告している状況のもとで、専門家らは雇用指標が予想より悪い場合、FRBが「ビッグカット」(50bp引き下げ)を敢行する可能性があると予想している。 シカゴ商品取引所(CME)がフェデラルファンド金利の先物市場の価格指標を活用してFRBの基準金利変動幅を予測するフェドウォッチによると、8月30日に30%となった「ビッグカット」の確率は、3日には40%台に上昇した。 ノ・ジウォン記者、チョン・ナムグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )