韓国・5人未満事業場に「労働基準法」適用拡大…自営業者の不満噴出
【12月06日 KOREA WAVE】韓国政府が5人未満の事業場にも労働基準法を段階的に適用する方針を示したことに対し、自営業者の間で強い反発が広がっている。特に深夜営業や24時間営業を手掛ける店舗では経営が困難になるとの指摘が出ており、現場を理解していない「机上の空論」との批判が噴出している。 現行の労働基準法は常時5人以上の労働者がいる事業場に適用され、5人未満の事業場では週52時間制、残業・夜間・休日勤務手当、有給休暇、職場内ハラスメント禁止規定などが適用されていない。しかし、この基準を5人未満の事業場にも拡大する場合、週52時間制や夜間勤務手当の支払い義務が生じることとなる。 政府は、事業場規模による適用除外は適切ではなく、約781万人に上る5人未満事業場の労働者の基本権を保護する必要があるとの立場だ。雇用労働省関係者は「労働者保護の目的で、実質的な法の盲点を解消することが目的だ」と説明している。 しかし、小規模事業主からは「現場の実情を無視した政策」との批判が強い。小規模事業主の団体である小商工人連合会は「PCルームや宿泊業、コンビニエンスストアの多くが廃業の危機に直面するだろう」と声明を発表した。 特に24時間営業が多いコンビニ業界への影響が懸念されている。常時5人未満の従業員で運営される店舗が多いなか、夜間手当を新たに支払う必要が生じれば、店舗の利益を圧迫するとの見方がある。京畿道龍仁市でコンビニを運営する経営者は「すでにアルバイトのシフトを細かく分けて対応しているが、夜間手当の追加負担は営業を続けることを意味しない」と訴えた。 また、既存の従業員を解雇して家族を雇用する「家族経営」が増える可能性も指摘されている。労働基準法では代表者の家族(配偶者や子ども)は労働者に該当しないため、法律の適用を回避する手段として利用される恐れがある。ソウル市永登浦区でフランチャイズのチキン店を運営する60代の男性は「最低賃金が来年1万ウォン(約1100円)に上がるうえ、各種手当を支払わなければならない状況では、売り上げの多い店舗でなければ生き残れない」と語った。 一方で、政府は小規模事業者への負担を軽減するため、比較的影響が少ない規定から段階的に適用を進める方針だ。雇用労働省関係者は「職場内ハラスメント禁止のような経営への負担が少ない規定から適用する案を検討している」と述べた。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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