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川村文化芸術振興財団の2020年度支援プロジェクト。きむらとしろうじんじんの「野点」と、あいトリ参加のモニカ・メイヤー関連プロジェクトが選出

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美術手帖

 一般財団法人川村文化芸術振興財団が2017年に開始した、日本初のソーシャリー・エンゲージド・アートを支援する助成制度。3回目となる2020年度は、工藤安代、窪田研二、近藤健一、高嶺格、相馬千秋、毛利嘉孝の6名の審査員により、国内外合わせて40件の応募から2件が採択された。  助成プロジェクトに選ばれたのは、ブレーカープロジェクト実行委員会の「ちょちょまうヴァナキュラー~にしなり+路上+野点+屋台」と、Our Clotheline with Mónica Mayerの「The Clothesline」で、それぞれ400万円と50万円を上限に助成が決定。2月6日には贈呈式が行われ、両プロジェクトの代表が受け取るとともに、プロジェクトの発表も行われた。  「ちょちょまうヴァナキュラー~にしなり+路上+野点+屋台」は、美術家・きむらとしろうじんじんが展開する、大阪・西成区で地域に密着したアートプロジェクト「ブレーカープロジェクト」が申請したものだ。  きむらが1995年より取り組んできた、路上や空き地などのオープンスペースに屋台を持ち込んで陶芸を制作する「野点」。この表現活動をベースに、西成区の内外の参加者が考える多種多様なオリジナル屋台を路上に持ち出すことで、場所や地域に対する様々な感情や思考を誘発させるという。  今後は、廃校となった旧今宮小学校の「作業場」を拠点に、実験的な表現活動に時間をかけて取り組みながら地域住民と共有することで、様々な関わりを生み出していく。  いっぽうのプロジェクト「The Clothesline」を申請したOur Clotheline with Mónica Mayerは、2019年6月にあいちトリエンナーレ2019の参加作家、モニカ・メイヤーが開催したワークショップの参加者の有志で結成された団体。  同団体は、モニカ・メイヤーがあいちトリエンナーレ2019で展示した作品《The Clothesline》を各地で展開。あいちトリエンナーレ2019の「表現の不自由展・その後」再開に向け、閉鎖された展示室の扉でReFreedom_Aichiとともに《The Clothesline》を開催したのをはじめ、名古屋で開催される性暴力に反対するフラワーデモや、上智大学、メキシコ大使館などでも同作品を展開してきた。  Our Clotheline with Mónica Mayerは今回助成対象となるプロジェクトとして、東京と名古屋でそれぞれ1回ずつ《The Clothesline》を展開する予定。「女性に対する暴力撤廃の国際デー」である11月25日から、「世界人権デー」である12月10日までの期間に実施される、「ジェンダーに基づく暴力に対する16日間キャンペーン」中の開催を目標に、プロジェクトを進めているという。  また、前年度の助成対象プロジェクトの進捗も共有された。  2019年度に助成対象となったクム・ソニによる「朝露(Morning Dew)」は、日本に住む脱北者や北朝鮮に渡った日本人妻とアーティストとの共同プロジェクト。クム・ソニは、協力者とコミュニケーションをとりながら、脱北者や日本人妻へのインタビュー撮影を行ったことを報告し、3月26日~30日に東京・北千住のBUoyにて関連する展示を行うことも発表した。  より良い社会モデルを、アートによって探ろうとする助成プロジェクトの数々。引き続き、今後の展開を見守りたい。

 

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