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売れなくて捨てる服、真っ黒にして「再生」 若者の心つかむ

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NIKKEI STYLE

《ブランド VIEWS》

 アダストリアのブランド「FROMSTOCK(フロムストック)」が環境意識の高い若者の支持を集めている。在庫として残り、廃棄される衣料品を黒染めして販売するという新しいコンセプトが、20~30代の若者の心をつかみつつある。サステナビリティ(持続可能性)への意識の高まりを追い風に、6月からネット販売を始めた。

■傷や汚れのある服もよみがえる

 扱うのは売れ残った在庫を黒染めした衣料品だ。大量生産・大量廃棄がアパレル業界の課題となる中で、廃棄される衣料品に新しい価値を与えるのがコンセプトだ。Tシャツやワンピース、ボトムスなどあらゆるものを染める。  黒染めという手法をとることで、より多くの服を染められるようにした。傷や汚れのある服や、着こなしが難しいような派手な色の服でも染めることができる。生地の頑丈さや素材に応じて染め方を変えているという。染料にもこだわり、環境負荷を低減させた。  黒はファッションに欠かせないベーシックな色で、男女問わず手に取ってもらいやすい。一口に黒と言っても、もとの服の色が茶色だと赤よりの黒になるなど、微妙な色の変化も楽しめる。一つとして同じ商品はなく、古着のように一点物となる。  中心価格帯はTシャツが4000~5000円、ボトムスは7000~9000円ほど。20~30代の若者でも気軽に手に取れるよう価格を抑えた。環境問題にそう関心がない人にも、ファッションとしての魅力を感じてもらいたいという。

■環境配慮、パッケージにも

 商品だけでなく、パッケージなども環境に配慮した資材を活用した。石灰石でできたリサイクルしやすい素材で、下げ札やパンフレットを作った。商品を入れるプラスチックの袋には、生分解を促す添加物を混ぜるなどの工夫をした。  3月に期間限定で開いたポップアップショップには一点物であるという点や、黒という色に魅力を感じる人の来店が多かったという。6月からはオンラインショップも立ち上げた。  サステナビリティへの取り組みは世界のアパレル企業で広がっている。英国機械学会が2018年に発表したファッション業界廃棄物に関するリポートによると、全世界で生産された洋服は、約6割が1年以内で処分されるという。  アダストリアも環境問題に取り組んできた。成長が早い子供の服の廃棄を減らすため、子供服のおさがりをシェアする「キッズローブ」というサービスを実施している。また各ブランドのショップバックを紙にするといった施策も進める。廃棄される運命にあったアパレル在庫を使った取り組みに、消費者の支持がどこまで集まるのか、注目される。 (淡海美帆)

▼FROMSTOCK

フロムストックはアダストリアが2月から展開するアパレルの大量廃棄問題の解決に取り組むブランド。ブランド名には着られることのない倉庫の服を、新たに生まれ変わらせるという意味を持たせた。リサイクルではなく黒染めしている点が特徴。ネット通販で展開する。 [日経MJ 2020年7月31日付]

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