キヨシ監督の“丸刈り指導”はパワハラ? それとも許される?
プロ野球、横浜DeNAベイスターズの中畑清監督が、ドラフト2位で指名した石田健大投手に、「髪形を気にしているようじゃ駄目。まずは頭を丸めてから。初心に帰れっ!」と檄をとばしました(スポーツ報知、10月26日)。ともすると、すぐに“パワハラ批判”が飛び出す昨今、これは行き過ぎた指導? 許されること?
中畑監督は、もともとは「巨人軍は常に紳士たれ」をモットーとしていた読売巨人軍の出身であり、巨人軍では模範的人間であることが要求されていました。しかし、いまの中畑氏の所属はDeNAです。DeNAの球団事務所に頭髪のルールを問い合わせてみると、「頭髪・服装などのルールはなく、チームとしてなんら制限はない」ということでした。確かに、最近の野球選手は髪型はわりと自由です。石田投手の髪型には問題がないようです。 自由な髪型に指導を入れることについて、どう考えればいいのしょうか? パワハラ問題に詳しい笹山尚人弁護士(東京法律事務所・第二東京弁護士会)は、「中畑氏の発言は、発想そのものが古風なもので、まあ、精神論として聞き流しておけばいい範疇の話かなとは思います。言われた人がプレッシャーになっていたり、義務として頭を丸めたりしない限り、問題ないのでは?」と話します。 なるほど、球団に頭髪や服装についての規定も内規も(そして不文律も)なく、その場合に「頭を丸めろ」というのは、本人が心理的な圧迫を感じていなければ、パワハラにはならないと。 笹山弁護士は続けます。「野球選手の場合は、そもそも契約そのものは労働契約とは呼べないと思うのですね。時間で決まる仕事ではないでしょうから。業務委託契約的にとらえられるべきでしょう。そうした契約においては、やはり契約の内容がどうなっているか、その内容が不合理で公序に反するということがないか、ということではないでしょうか。現在のプロ野球選手を見ていると、髪型はかなり自由で、かつ、髪型にもよるのでしょうが、多くの場合、業務遂行(つまり試合への参加)に支障があるようにも見えません」。