湖畔に現れた森? いえこれは氷像です 千歳・支笏湖氷濤まつり
【北海道・千歳】札幌から車で一時間少し、日本の湖の水質透明度7年連続1位を誇る支笏湖(しこつこ)の湖畔で、第37回千歳・支笏湖氷濤まつりが開催されています。 支笏湖は約32000年前の火山活動によって生まれたカルデラ湖で、札幌市から程近いことから、千歳市民のみならず、札幌市民ほか札幌近郊の住民から愛されている湖です。名産はチップと呼ばれるヒメマスで、湖畔の食堂やレストランにはヒメマス料理が並びます。今年のまつりは1月30日からスタート、昨年11月末から30基近い氷像作りが始まりました。
湖の水を1か月吹きかけて製作
30年近くに渡り氷像作りに携わっている、支笏湖まつり実行委員会・会場制作管理部の小林典幸さんによると、「今年は暖気の影響で、氷を厚くすることに非常に苦労しました。例年はもっと早いスタートだったんですが、今年は(観光客が多い)中国の春節に合わせて少し遅いスタートだったので何とか間に合いました」とのこと。 まず会場に来てびっくりするのが、氷像の大きさ・迫力と、氷の透明感です。 「最初に1か月ほどかけて骨組みを組みます。そこに支笏湖から直接パイプをつないで、スプリンクラーで水を24時間吹きかけていって、1か月ほどで氷像になります。何といっても水質透明度1位の水ですから、その青い透明感には自信があります」(小林さん)
氷像の中には高さ5メートルを超える大型のものも。ドーム型・アーケード型の氷像の壁の厚さは50センチ以上にもなりますが、制作人員はたったの12人。その人数で2か月の間に支笏湖ブルーに輝く氷像を完成させます。 その中でも圧巻なのが「苔の洞門2015」。これは支笏湖近くに実際にある観光スポット「苔の洞門」(冬期間閉鎖)を模して造られた氷の通路で、山から松を刈ってきて氷の壁に飾りつけを行っています。 「氷の中でも、木の香りが漂うように本物の木を使って演出しています。やはり『苔の洞門2015』は氷像の中でも大型なので気合いが入りますね。そして今年は俯瞰で会場を見渡せる『天空回廊』を初めて製作しました。高い場所から、まつり会場全体を見渡してほしいです」と小林さん。
昼間は太陽の光に輝く透明感を楽しみ、午後4時半からのライトアップタイムでは、氷像ごとに違う色合いを楽しめます。また、期間中は花火大火や氷濤ウェディングなどイベントも盛りだくさん。会場近郊には温泉もたくさんあるので、寒い会場で氷像を楽しんだ後でも温かくなって帰路につけます。 第37回千歳・支笏湖氷濤まつりは、午前9時から午後10時までの間、2月22日まで開催されています。 (ライター・橋場了吾)