理想を追求したがゆえに不具合も多かったiPhone史上もっとも美しい4s|iPhone超分解図鑑
どのモデルも『歴史的モデルである』としてしまいそうだが、4、4sこそ、間違いなく歴史的傑作だ。
ステンレスフレームと表裏ガラスの歴史的傑作
この角丸の四角を突き詰めたデザイン、ステンレスのフレームに、表裏ともガラスのシンメトリカルなデザイン。いずれも、アップルが(そしておそらくジョブズが)突き詰めてきたデザインの究極ともいえる。 しかし、4は理想を追求したのはいいが、それゆえの不具合も多いモデルだった。周囲のステンレスフレームはプラスチックの部品で適切な長さに区切られ、アンテナの役割も果たすようになっているが、それゆえに持ち方によっては電波の受信状態が悪くなるという障害があった。また、ホワイトモデルはガラスへの塗装が上手くいかず発売は10カ月以上も遅れた。両面をガラスとするため、バスタブ状のボディを持たない複雑な構造のモデルになっている。 アーキテクチャとしては4でRetinaディスプレイを搭載。自社開発と言われるApple A4プロセッサの搭載。4sではRetina搭載で重くなった動作速度(Retina化は、単純に言って4倍の画面データを扱うことになる)の最適化、ハードではないが、SiriやiCloudの搭載などが行われた。また、日本だけのトピックだが、au版が出たのも4sからだ。 構造上、ステンレスフレームが周囲を取り囲む。それらを繋ぐのは薄いステンレスのプレートだ。その上にメカニズムが配されている。初代や3G/3Gsに比べると、工業製品として格段に進歩した感があるが、本体をバスタブ状にして、背面にガラスを貼らなければ、もう少しシンプルで軽い構造になっただろうに……とは思う。それでは美しくもなんともないが。 病に倒れたジョブズが、完成品を見た最後のiPhoneは、おそらくこの4sのはずだ。4sが発表された翌日の2011年10月5日に、スティーブ・ジョブズは世を去っている。『s』は『スティーブ』を意味するという人もいるが、真相は不明だ。