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コロナショックで年金が減る3つの「理由」と「対策」 積立金の運用損は影響しないけど…

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マネーの達人

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年2月下旬頃から、主要国の株価指数が、急激に下落しました。 日本では「日経平均株価」や「TOPIX」などです。 こういった新型コロナウイルスによって生じた株価の急激な下落、失業率の急激な上昇、個人消費の急激な落ち込みなどを「コロナショック」と呼ぶことがあります。 コロナショックが発生した直後には、株価の急落によって年金の積立金に巨額の運用損が生じると予想する方が、けっこういたのではないかと思われます。 また、運用損の発生により各人が受給する年金が減ると予想する方もいましたが、最近はこういった方をあまり見かけません。

コロナショックの運用損は年金に影響しない

この大きな理由としては、世界の中央銀行の多くがコロナショック後に大規模な金融緩和を実施したため、主要国の株価指数は「コロナバブル」と評価されるほどに急上昇したからだと思います。 たとえば、アメリカの株価指数のひとつである「ナスダック総合」は、コロナショックが発生する前の水準を超えて史上最高値を更新しました。 また、 公的年金の財源は現役世代が納付した保険料が約7割、国庫負担(税金)が約2割、積立金の取り崩しが約1割 で推移しています。 従って、コロナショックにより積立金に巨額の運用損が発生しても、それが短期で済めば各人が受給する年金に対する影響はあまりないと考えられます。 しかしながら、別の理由で年金が減ってしまう可能性があります。

積立金の運用以外に年金が減ってしまう3つの理由

積立金の運用以外の次のような3つの理由によって年金が減ってしまうと考えられます。 ■理由1:国民年金保険料の納付率が下降に転じる 国民年金保険料の納付率は2011年度に過去最低の58.6%まで低下しました。 しかし、2012年度からは上昇に転じたうえに、2019年度の69.3%に達するまで8年連続で上昇しました。 納付率が上昇する起点になった2012年度の出来事について調べてみると、政権交代で安倍内閣が誕生し「アベノミクス」という経済政策が始まっています。 このアベノミクスによる景気回復がその後に実施された「強制徴収(財産の差し押さえなど)の強化」などと同じように、納付率の上昇に対して大きな影響を与えていると思います。 そうなるとコロナショックで景気が悪くなれば国民年金の保険料の納付率が下降に転じる可能性があり、また納付率が低下すれば、各人が受給する年金が減ってしまいます。 20歳から60歳までの40年間(480月)に渡って1か月も欠かさずに国民年金の保険料を納付し、65歳から満額の老齢基礎年金を受給できた場合にその金額は78万1700円(2020年度額)になります。 しかしながら、未納期間が1か月増えるごとに1629円(78万1700円 ÷ 480月)ほど老齢基礎年金が減ってしまいます。 ■□対策□□ ただし、上記のように公的年金には税金が投入されているため、 市区町村の窓口または郵送で申請書を提出し、たとえば全額免除を受けると815円ほどの減額で済みます また、全額免除を受けた月は保険料を納付する義務がなくなるため、強制徴収の対象から外れます。 景気の悪化によって収入が減った方が各種の免除を受けるには、本人・配偶者・世帯主の前年の所得が一定の基準以下になることが要件です。 たとえば、本人の所得のみで審査される単身世帯の場合の前年の所得の目安は次のようになっております。 【全額免除】 57万円(年収の目安は122万円) 【3/4免除】 93万円(年収の目安は158万円) 【半額免除】 141万円(年収の目安は227万円) 【1/4免除】 189万円(年収の目安は296万円) このように年収が296万円以下であれば、何らかの免除を受けられる可能性があります。 また、扶養親族がいる場合にはこれより基準が上がるため、国民年金の保険料の免除は想像するよりも受けやすいのではないかと思います。 ■理由2:正社員の採用が抑制される 公的年金保険料を納付した期間や国民年金保険料の納付を免除された期間などを合算した期間が原則10年(120月)に達している場合には、国民年金から支給される老齢基礎年金を65歳から受給できます。 また、厚生年金保険の加入期間が1か月以上ある場合には老齢基礎年金に上乗せして、厚生年金保険から支給される老齢厚生年金を65歳から受給できます。 この老齢厚生年金は、厚生年金保険の加入期間が長くなるほど金額が増えていきます。 従って、老齢厚生年金受給のためには厚生年金保険に加入する正社員で働いた方がよいですが、コロナショックで業績が悪化した企業が正社員の採用を抑制するというニュースを見かけました。 そうすると将来に受給できる老齢厚生年金が減ってしまう可能性があります。 ■□対策□□ ただし、近年は契約社員、パート、アルバイトなどの非正規雇用へと社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用が拡大されているため、労働時間や収入によっては正社員にならなくても厚生年金保険に加入することになります。 たとえば、社会保険の加入要件になっている月収8万8000円で働いた場合の厚生年金保険料は月8052円です。 また、社会保険料は収入に比例して増えていくため、たとえば月収18万円で働いた場合の厚生年金保険料は月1万6470円になります。 一方で、国民年金保険料は収入にかかわらず月1万6540円(2020年度額)のため、月収18万円くらいまでであれば厚生年金保険に加入した方が負担が少ないと言えます。 しかも、厚生年金保険料を納付すると、上記のように老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が支給されるようになります。 ■理由3:月給と賞与の平均額が低下する 厚生年金保険から支給される 老齢厚生年金の金額は、加入期間の長さと、現役時代に勤務先から受け取った月給と賞与の平均額 で決まります。 そのためコロナショックで月給や賞与の金額が少なくなった場合には老齢厚生年金が減ってしまう可能性があります。 ■□対策□□ また、実際に月給や賞与が少なくなった方は、今まで以上に自助努力が大切になってくると思います。 この自助努力とは、たとえば「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型の確定拠出年金)」を始めることです。 現在は世界の中央銀行の多くが大規模金融緩和を実施しており株価が上がりやすい環境になっているため、「つみたてNISA」や「iDeCo」を始めるにはちょうどよいタイミングではないかと思います。 これらを始める金銭的な余裕がないという場合には、勤務先が実施している企業年金を調べてみましょう。 もし、実施しているのが「企業型の確定拠出年金」だった場合には、この掛金の投資割合を見直して株式が組み入れられた投資信託の割合を以前より増やしてみます。 株式が組み入れられた投資信託の割合をどのくらいにするのかについては、「100 - 年齢」という目安があります ので、特に年齢が若い方はこの機会に見直してみるのがよいと言えます。(執筆者:木村 公司 / 社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級)

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