日中の超長期国債利回り逆転-中国経済の「日本化」進行懸念
(ブルームバーグ): 日本の超長期国債利回りが、中国国債を上回り11月が終わろうとしている。日中利回りの逆転だ。
日本の30年債利回りが2010年以来の高水準に上昇した一方で、同年限の中国債利回りは2カ月ぶりの低水準に低下。中国国債に対する日本国債の利回り上乗せ幅(プレミアム)はここ20年近くで最大となっている。
利回り逆転は、アジアの2大経済が正反対の方向に向かっていることを示している。
長期金利が上昇している日本について、トレーダーらは今後数年インフレが加速し、債務の供給が拡大すると危惧し始めている。
一方、デフレの脅威に苦しむ中国経済は、「日本化」が進むとの見方が強まっている。中国の低迷は、1990年代にアジア各国が経験したような「バランスシート不況」への懸念を呼び起こしている。
習近平国家主席の景気刺激策がまだ成長回復につながっていない中で、トランプ次期米大統領が中国製品への関税引き上げを公約していることも景況感の重しだ。
ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏はトランプ氏の関税強化について、「中国よりも日本への資本流入を促す可能性がある」と分析。
その上で、中国が「不動産セクターを安定化させ、デフレリスクを排除する強力な措置を講じれば、資産価格を支え得る」との見方を示した。
中国の30年債利回りは11月に12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し2.21%。10年債も2%に向かって下げている。日本の30年債利回りは約2.28%。
原題:Japanese Super-Long Yields Surpass China’s as Divergence Grows (抜粋)
--取材協力:Masaki Kondo.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Tian Chen、Shulun Huang