【滅びる運命?】マニュアル・トランスミッション 減少傾向強まる メリット、生き残る道は
クルマと人の物理的なつながり
text:AUTOCAR UK編集部 translator:Takuya Hayashi(林 汰久也) 【写真】ヤリス、ロードスター、BRZ、フェアレディZ【新車で買えるMT車を写真で見る】 (173枚) 英国の自動車市場は2020年1~9月の9か月間で、大きな節目を迎えた。マニュアル・トランスミッション(MT)よりもオートマチック・トランスミッション(AT)を搭載したクルマの方が、初めて多く売れたのである。 自動車業界団体ソサエティ・オブ・モーター・マニュファクチャー・アンド・トレーダーの調査によると、英国における同期間の新車販売の54%をATが占め、初めて50%の壁を破ったという。 以前からMTの需要低下は販売データに表れていたが、過去3年間では特に顕著だ。昨年、AT車は販売台数の49%を占め、2018年の43%から上昇。10年前は販売の5分の1しか占めていなかった。 また、今月初めには、メルセデス・ベンツが欧州の大手自動車メーカーとして初めて、MT車の生産を完全に停止することを発表した。 メルセデスは、内燃機関のラインナップを大幅に削減することも含めたコスト削減策の一環として、MT廃止の実施を決定。広報担当者によると、MTは2030年までに段階的に廃止されるという。 メルセデスで現在、MTを設定しているのは、AクラスとGLA、Cクラスを含むコンパクトモデルのみ。来年登場予定の新型Cクラスでは、完全に廃止されると予想されている。 MTは、ドライバーとクルマを物理的につなげるものとして、長い間エンスージアストに愛されてきた。伝統的なトルクコンバーターよりも優れた燃費を実現し、価格も比較的安価だ。 しかし今では、誰でも使いやすいATの需要と、正確にコントロールできるデュアルクラッチ・トランスミッション(DCT)の台頭により、MTを凌駕するようになってきている。 「ATは、パワーウィンドウのように当たり前の機能になりつつある」と英国の市場調査会社ジェイトー・ダイナミクスの調査員、フェリペ・ムノスは言う。