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Netflixオリジナルシリーズが人気沸騰! 『梨泰院クラス』原作者、チョ・ガンジン氏インタビュー

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日本では今『梨泰院クラス』が『愛の不時着』と並んで『冬のソナタ』以来の韓国ドラマの一大ブームを牽引する作品として、幅広い年齢層に熱狂的に受け入れられている。ドラマの原作となったウェブトゥーンの『梨泰院クラス』(日本配信版タイトルは『六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~』)もカカオジャパンが運営するマンガアプリ「ピッコマ」で配信され人気を博している。 しかしその作家であるチョ・ガンジンについてはまだあまり知られていない。日本の『梨泰院クラス』ファンに向けたメールインタビューに答えてもらった。 【写真】チョ・ガンジン氏が『梨泰院クラス』連載中にオープンした居酒屋「クルバム」 取材・文 / 飯田一史 ◆日本でマンガを連載することに憧れていた ーー まずはプロフィールから教えてください。 34歳、京畿道(キョンギド)のウィジョンブ市で生まれました。 中学生のころ『SLAM DUNK』『ONE PIECE』『NARUTO』などを読み、鳥肌が立ったのを覚えています。そのときの気持ちを僕もたくさんの人に感じてもらいたいと思い、マンガ家を目指すようになりました。 居酒屋や工事現場、物流センター、工場などでアルバイトをしながらマンガを描いて出版社に送ったりしていましたが、27歳のときに韓国のレジンコミックスから『彼女の水族館』でデビューし、それ以来ずっとマンガを描いています。 また、現在は監督として映画制作を手がけています。 ーー 夢を叶えるまでさまざまな職業を経験していたとは、『梨泰院クラス』の主人公セロイのようですね。仕事以外に趣味はありますか。 残念ながらこれといった趣味はありません。 ーー 影響を受けた作家・作品について教えてください。 ホラー以外のすべてのジャンルの作品が好きです。これまで触れてきたあらゆるコンテンツに影響を受けていると思います。 ーー 韓国は詩がさかんだと聞いています。ヒョニに対してイソが読み上げる詩『I’m the Diamond』は作中オリジナルのもので、ご自身で書かれたそうですが、非常に印象的でした。好きな詩人や詩集があれば教えてください。 僕は詩に詳しくはありません。『I’m the Diamond』はヒョニやセロイたちクルバムファミリーのためだけに作った詩なんです。 ストーリー展開と相まって良い印象を残せたようですが、詩としては粗くて完成度の低いものだと思います。 (編注:ドラマ版ではセロイが経営する店は「タンバム」だが、原作ウェブトゥーンでは「クルバム」) ーー 日本のポップカルチャーで好きなものはありますか。また、日本に来たことは? 海外には2度行ったことがありますが、2回とも日本でした。日本のマンガやアニメ、音楽、映画を楽しみながら育ちました。日本人の友達もいますし、日本語の読み書きはできませんが少しなら会話もできます。 ーー 日本でも『梨泰院クラス』が読まれたり観られたりしているという反響は耳に入ってきていますか。 記事などは見ていますが、肌で感じるほどの実感はありません。ただ子どものころ、日本で作品を連載することが夢だったので、半分は叶ったようで幸せです。 ◆たくさんの人に自分の作品を見てほしいからウェブトゥーンを選んだ ーー ウェブトゥーンを連載中の時期の1週間のおおよそのスケジュールは? 1週間ほぼずっと仕事をしています。 ーー 休みがない、と。ハードですね……。制作に携わるスタッフは何人くらいですか。 『梨泰院クラス』連載当時はアシスタント1名と一緒に仕事をしました。 ーー 意外と少人数なんですね。執筆に使用している機材、ソフトウェアは? ワコムのシンティックを使っています。ソフトウェアはフォトショップ、クリップスタジオを使います。 ーー そのあたりはデジタルで作画されている日本のマンガ家と変わらないかもしれないですね。 以前、『未生』の作家ユン・テホさんが来日講演をされた時に「昔は紙のマンガを描いていたが、ウェブトゥーンを原作としたドラマや映画が次々ヒットするようになって時代の流れを感じ、移るほかないと思った」というようなことをおっしゃられていました。チョ・ガンジンさんが表現媒体としてウェブトゥーンを選んだ理由には、ユン・テホさんがおっしゃるような、IPとして多メディア展開される可能性がある、といった経済的な魅力もありますか? 韓国では今や「マンガ=ウェブトゥーン」です。IT大国で誰もがスマホを使っていますし、スマホさえあればいつ、どこでも手軽にウェブでマンガが見られます。 映像化などの二次的著作物の著作権、海外版権などで見通しの良い分野なのはたしかですが、僕がウェブトゥーンを選んだのは「もっとたくさんの人に自分の作品を見てほしい」という単純な理由からです。 ◆パク・セロイのような人生を歩んだわけではない ーー 『梨泰院クラス』を描くにあたって、何に着想を得て、どんなふうに構想をまとめていったのでしょうか。 日々の暮らしの中での経験や感情から着想を得ています。誤解されがちですが、僕がセロイみたいな人生を歩んだわけじゃありません(笑)。彼の人生は、僕が作り上げた、ただのファンタジーです。大まかなプロットは作りましたが、最初からきっちりと組み立ててはいませんでした。読者のリアクションを見ながら連載の途中で変えることもあります。 いちばん力を入れたのは、やはり「面白さ」です。毎週楽しく読んでもらいたい気持ちが大きかったです。 ーー 梨泰院はチョ・ガンジンさんにとってどんな場所ですか。 僕が初めて梨泰院に行ったときの気持ちは、作品の中でセロイが梨泰院に対して抱いた感情と同じなんです。 ーー それは素敵ですね。おすすめのお店はありますか? 特にココがおすすめというよりは、ぶらぶらしていて楽しい街です。強いておすすめのお店を挙げるなら……うちの「クルバム」にぜひ!(笑) (編注:チョ・ガンジン氏は『梨泰院クラス』連載中、実際に梨泰院に居酒屋「クルバム」をオープンした) ーー コロナ禍が収束し、また韓国と気軽に行き来できるようになったらぜひ訪れたいという日本のファンも多いと思います。『梨泰院クラス』連載中に韓国で特に人気の高かったエピソードは? 連載当時、本当にたくさんの方々に作品を愛していただきました。特に人気が高かったのは……「最強レストラン」のエピソードだったと思います。 (編注:『六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~』では第54~57話に該当) ーー ああ、ヒョニ(『六本木クラス』では“りく”)が参加する料理対決の話ですね。ドラマ版でもあそこは人気ですよね。 私は『梨泰院クラス』を「(擬似)家族のドラマ」だと解釈しました。というのも、このドラマの主要人物たちは皆、親がいないか、親との関係がうまくいっていません。規範や旧世代の価値観の象徴としての親がいない人たちが梨泰院に集まり、新しい家族=仲間を作っていきます。そうした親の不在や親子関係の破綻と、彼らが前科者やソシオパスなどであることとは、意識的に結びつけてキャラクターを作られたのでしょうか。 はい、キャラクターを作るときはバランスに気をつけています。 どの人物も社会的な観点からすれば何かが欠如していると言えますが、彼らが魅力的な相乗効果を生み出せるんじゃないかと思いました。 ーー 『梨泰院クラス』には「me too」や「BLACK LIVES MATTER」に通じるメッセージを感じました。スマートフォンとSNSが告発の手段として用いられている点も共通しています。チョ・ガンジンさんご自身としてはこうした意見についてはどう感じますか? そう言っていただいてありがとうございます。もっと上手に表現できればよかったのですが、僕の力が及ばず否定的な反応もありました。学ぶ姿勢を忘れず精進していきたいと思います。 ◆『梨泰院クラス』ドラマ版ではキャラクターを大事にすることで監督と一致 ーー 『梨泰院クラス』のドラマ版で脚本も手がけることになった経緯を教えてください。 監督自ら店に足を運んで提案してくださいました。 ーー マンガとドラマの脚本を両方やられてみて、それぞれの良さや難しさはどんなところにあると感じましたか。 マンガとの差としては展開のテンポ、生身の人間が動くこと、たくさんの人との共同作業が必要という点が挙げられると思います。 原作者がドラマの脚本を手がける強みとしては、キャラクターをいちばん理解していること、原作で最も重視しているテーマを取りこぼさないこと、ぐらいでしょうか。 逆に短所は、その人の能力によりけりだと思いますが……僕の場合は数え切れないほど多いですね。 ーー ドラマになって付け足された要素も多くはご自身のアイデアによるものですか? まず僕がアイデアを出すと、ドラマとして良いか、具現できるかなどを監督がフィードバックしてくださいます。すごくスマートな方です。 初ドラマでキム・ソンユン監督に出会えたのは僕にとって幸運です。 ーー ドラマ化にあたり、チョ・ガンジンさんから監督やプロデューサーに「ここを大事にしてほしい」と伝えたことは? 『梨泰院クラス』の面白み、かついちばん大事な要素はキャラクターです。 お互いあえて説明するまでもなく、監督と僕の考えが一致した部分です。 ◆現在企画している新作映画、ドラマ、ウェブトゥーンを日本にも届けたい ーー 現在および今後の活動について教えてください。 現在、映画の撮影中です。それからウェブトゥーンやドラマ制作も予定しています。 また面白い作品を作って日本の皆様も紹介できたら嬉しいです。 ーー 「こんな作家になりたい」という目標やイメージはありますか。 成長する作家になりたいです。また、良い影響を与える作家を目指しています。 ーー 『梨泰院クラス』に夢中になっている日本の読者/視聴者に向けてひと言お願いします。 浦沢直樹さん、尾田栄一郎さん、岸本斉史さん、井上雄彦さん、あだち充さん、X JAPAN、L’Arc~en~Ciel、安室奈美恵さん、倉木麻衣さん、中島美嘉さんなど、小さいころから日本のポップカルチャーにたくさんの影響を受けました。 そんな日本で『梨泰院クラス』が愛され、驚きと感謝でいっぱいです。 もっと面白い作品をお届けできるように頑張ります。 Netflixオリジナルシリーズが人気沸騰! 『梨泰院クラス』原作者、チョ・ガンジン氏インタビューは、WHAT's IN? tokyoへ。

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