鳥取砂丘が月面基地に!? 宇宙開発の拠点目指す【WBS】
現在、日本では13年ぶりとなる宇宙飛行士誕生に向けた選考が進むなど、宇宙開発に注目が集まっています。こうした中、鳥取県の観光地で壮大なスケールの取り組みが始まっています。 大阪・吹田市にある日本一の高さを誇る観覧車、オオサカホイール。ここで5月8日まで開催されていたのが「宇宙万博2022 in オオサカホイール」です。 観覧車のゴンドラに乗り込むと、中は宇宙船のように仕立てられており、太陽の塔を見下ろす光景が画面の中に映し出されています。そこにはあるはずもないロケットの姿が。実際の景色にCGを合成するAR(拡張現実)の技術で、観覧車に乗りながら宇宙を疑似体験できるアトラクションです。 仕掛けたのはベンチャー企業の「アミュラポ」。宇宙を体験するコンテンツを開発する会社です。 「宇宙は一般の人にとって遠い存在だが、もっと身近に宇宙に関わってほしい」(アミュラポの 岡部明海さん) そのアミュラポが、鳥取砂丘で本格的な宇宙体験ができるプロジェクトを進めています。 鳥取砂丘は日が沈むと、昼間とは打って変わって人気のない静かな空間が広がります。そこはまるで砂に覆われた月面そっくり。アミュラポは、この鳥取砂丘で月面を体験してもらおうというのです。 アミュラポの田中克明CEOがやって来たのは、砂丘の外れにある柳茶屋キャンプ場です。 「鳥取砂丘ムーンパークを提案している。テーマパークのような体験型で楽しめるものを考えている」(田中CEO) 月面に滞在しているような体験ができる宿泊棟の建設を計画しています。設計・施工はミサワホームグループが担当。実際の月面基地の実証実験も兼ねたプロジェクトになるといいます。 「いろいろな人に利用してもらうことで、改善点が分かって宇宙技術も進化していく」(田中CEO) 現在、鳥取市などと協議中で、採用されれば23年春の開業を目指します。 実は田中さん、去年11月から砂丘を活用した月面体験ツアーを始めました。 「砂丘を月面に見立てて、宇宙飛行士の体験ができるプログラムを展開している」(田中CEO) 夜8時、4人の参加者が砂丘へやって来ました。アミュラポが用意したARグラスを装着すると、月着陸船が降りてきて鳥取砂丘に着陸する映像が映し出されます。さらに砂丘に置かれた太陽光パネルを開くと、月面を探査するローバーに電力が供給され、砂丘の上を走り出しました。9800円で2時間の月面体験が楽しめます。 「自分が動いたら近づけるし、宇宙にいる感覚になれた。面白い」(参加者) この日、田中さんが鳥取県の職員と訪れたのは、砂丘の外れにある鳥取大学の研究施設「乾燥地研究センター」。探していたのは月面ローバーの走行テストに適した斜面です。 実は田中さん、宇宙ベンチャーで月面ローバーを開発するエンジニアでもあります。日本の宇宙産業を育てるため、鳥取砂丘を宇宙開発の拠点にしたいと考えています。 「宇宙産業に興味を持ってもらい、関わる機会をたくさんつくって、世界的に活躍できる人を育てなければいけない」(田中CEO) 日本も2020年代後半に宇宙飛行士の月面着陸を目指しています。鳥取砂丘が月面開発の拠点になるかもしれません。 ※ワールドビジネスサテライト