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疫病退散で話題の“アマビエ”って一体何者? 妖怪研究の第一人者に聞くその正体とは #コロナとどう暮らす

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さて、種々さまざまな予言獣だが、実はそのストーリーはいずれもよく似ている。空や海、陸、例えば田んぼなどから突如姿を現し、農作の豊凶と疫病の流行をたいがいセットで告げるのである。疫病は、悪い風邪であるとか、コレラだとか、具体的に示されているケースもある。そして疫病から命を守るために、自分の姿を描き写したり、それを門口に貼るようにと教え、消え去るのだ。京都大学附属図書館版のアマビエには、「私を写し人々に見せよ」とあるだけだが、他の予言獣の例から、これが疫病除けに結びつくことが類推できる。 科学や医療が未発達であった時代、天候に大きく影響を受ける農作と抗いがたく蔓延する病気は、人智を超えたものの仕業で左右されると考えられていた。食糧と病とは、いずれも人の生命にダイレクトに関わる問題だ。人々は藁にもすがる思いで、予言獣たちの言葉に救いを求めたことだろう。自然に生まれたこうしたプリミティブな民間信仰の背景には、社会全体で潜在的に共有されていた切実な危機感があったはずだ。 明治維新後、科学的な医療の知識が広まるにつれて、明治の半ば頃には予言獣の報告はほとんど見られなくなる。現代では、細菌やウイルスといった病の原因も比較的すみやかに突き止められるようになった。だが、病そのものに対する不安は今も昔も変わらない。そうしてアマビコないしアマビエも人の心の片隅に生きつづけていくのだろう。 参考文献:湯本豪一『日本の幻獣図譜』(東京美術)

教えてくれたのは……湯本豪一(ゆもと・こういち)先生

【Profile】 民俗学者・妖怪研究者。川崎市市民ミュージアム学芸員、学芸室長を歴任。2019年4月には5,000点もの妖怪コレクションを寄贈した「湯本豪一記念日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)」(広島県三次市三次町1691番地4)が開館。同館名誉館長。妖怪に関する著書多数。

(抜粋) マルチメディア『アマビエ クリアファイル&シールBOOK』 撮影:高橋ノボル 編集・テキスト:船津麻子 ※画像・文章の無断転載はご遠慮ください WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト

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