法学者 谷口真由美 袴田事件再審無罪を受けて「期日指定の法改正」求める
取り調べとか捜査というものが正当になされているのならいいですが、例えば黙秘権ひとつとっても、ちゃんと黙秘させてくれたかというと、袴田さんが30分以上黙っていたにもかかわらず雑談とかを持ちかけて、そこから口を割らせようとしているみたいなこともあったとか。 ■「疑わしきは被告人の利益に」を肝に据える そもそも「疑わしきは被告人の利益に」が司法裁判の鉄則なんですけれども、法学を勉強したことがあると、法律というものは道具なので、すごく抑制的に使うというトレーニングを受けるんです。脳の思考方法として。 私もメディアに出るのでこれは自戒も込めてなんですけれども、何か事件が起こると、ワイドショー的に「この人が怪しいんじゃないか」みたいなことから、何となく世間が「怪しい人! やったんじゃないか」みたいな風潮を作り出してしまうというところがあると思うんですよね。 だからやはりメディアで発信する側が、いかにそれを抑制的に「疑わしきは被告人の利益に」ということが徹底できるかどうかというのは、これはもうマスコミの人とかもそうですし、メディアを使う人、もちろん今で言うとSNSなど自分のメディア使う人たちも、本当にそこをもう一度肝に据えないといけないなというのは感じるところなんですね。 ■検察は控訴断念を 証拠の捏造がなされていたということとか、証拠で出てきたあのズボンが小さすぎて、袴田さんが履くと太ももの辺りで止まって着用できなかったという写真があるんですけど、それが証拠として出てきました。 でもそのズボンを「証拠だ」と言い張った状況があるということを考えると、「捏造もされてしまうんだな」と思いますね。袴田さんにまず権利救済をすることが一番大事で、姉の秀子さんがずっと「無実だ」と訴えてきたことを重く受け止めて、本人と家族に対して補償していくという問題が私はあると思います。 何より「検察が控訴しないでほしい」っていうことは強く訴えたい。これ、まだ決まってないわけで控訴するかもしれないという状況です。