法学者 谷口真由美 袴田事件再審無罪を受けて「期日指定の法改正」求める
静岡県で一家4人が殺害された事件の再審で袴田巌さんに無罪の判決が言い渡された。逮捕から58年、無罪を勝ち取るまであまりにも長い闘いとなったこの裁判。法学者の谷口真由美さんは9月30日、RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』に出演し、事件当時の取り調べの正当性や、再審に期日を指定する法改正を訴えた。 ■自白偏重主義だった事件当時 袴田事件、袴田巌さんの件についてです。改めて説明するまでもない事件だとは思うんですけれども、58年前にみそ工場で殺人事件があって、その犯人だとされた袴田巌さんが、58年間捕らえられました。 もちろん釈放されていたことはありますが、確定死刑囚として過ごしているという状況が58年続いている人生というものを考えたときにあまりに重い。 まず私たちは一般的に、警察や検察が嘘をついて、事件をでっち上げるんじゃないかということを想像していないと思うんですね。「正義の味方」だと思っていて、「悪いことをした人をちゃんと罰してくれる人たちだ」みたいに思っています。だけど、自白偏重主義というものがあって、事件当時=58年前などは特にそうで、本人の自白をすごく重視したという歴史があります。 ■事件の取り調べを体験するVR 実は今、地元の静岡新聞が袴田事件の特設サイトを作っているんです。これがものすごく重厚でよくできているんです。リスナーの皆さんも興味があったら静岡新聞の袴田さん事件の特設サイトを見ていただきたいんです。 その中にVRを使って、袴田事件の取り調べを体験できるものがあります。自分が袴田巌さんになって取り調べを受けるというもので、静岡新聞がアプリ会社と一緒に開発したんです。 私はVR機器を持っていませんが、紹介ページを見てみると、例えば自分が袴田さんだとして、「このときどういう答えを選びますか」みたいなものがあって、どんな答えを選んでも検察などからウワァーっと取り調べを受けるというものなんです。もはや拷問です。