「未来のデジタルアート」はどこへ行く? Beeple(ビープル)の中国での最新個展から探る
南京の歴史、そして世界の美術史
南京は中国四大古都のひとつとして、2500年もの長い歴史を誇る。「金陵」や「天京」など、さまざまな名前の変遷を繰り返してきた。プレスツアーの行程には寺院、遺跡や城跡が組み込まれており、南京の郷土史がいかに重層的かを体感させられ、美術館としての意気込みも同時に伝わった。 Beepleの展覧会の結びでは、「Digiverse」プロジェクトが発表された。このセクションでは新世代のデジタルアーティストを中国国内の美術大学生を中心に推薦・公募する。Beepleがまさに最初のデジタルドローイングを始めた年齢の世代が、生成AIやNFTの技術の成熟を経たいま、羽ばたこうとしている。 Deji Art Museumの館長のアイ・リンは「大学生が多い街だからこそ、多くの学生に見てほしい」とコメントしていたが、狙い通りにオープニングにも多数の学生が駆けつけていて、Beepleの人気の高さを垣間見た。Deji Art Museumが見据える未来のデジタルアートは明るく、南京の「後背地」は豊穣だ。日本でも来年2月に開幕する森美術館「マシン・ラブ」展でBeepleの作品がお披露目される。その頃に世相を映す《Human One》はどう変化しているか、しかと見届ける必要があるだろう。
Xin Tahara