石破首相が所信表明演説で「年収103万円の壁」の見直しを明言…少数与党として各党と協議の姿勢示す
石破首相は29日午後、衆院本会議で所信表明演説に臨んだ。国民民主党が求める「年収103万円の壁」の見直しを明言し、少数与党として幅広い合意形成を図る姿勢を打ち出した。外交・安全保障、日本の活力回復、治安・防災を重要課題と位置付け、政治改革にも結論を出すと訴えた。
首相は、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」について、「2025年度税制改正の中で議論し、引き上げる」と表明した。国民民主が求める「ガソリン減税」についても「検討し、結論を得る」と強調した。
演説の冒頭では、1957年の石橋湛山内閣の施政方針演説から「率直に意見をかわす慣行を作り、相互に協力を惜しまず」との表現を引用し、少数与党として各党と謙虚に協議を進める姿勢を示した。
外交・安保を巡っては、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20か国・地域首脳会議(G20)での首脳外交の成果を強調し、今後も各国との対話や日米同盟の強化で「望ましい安保環境を作り出す」と訴えた。米国のトランプ次期大統領とも「率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていく」と述べた。
経済成長に向けて「日本全体の活力を取り戻す」として、地方創生の再起動と、賃上げ・投資が先導する成長型経済への移行を重点として挙げた。肝いりで進める地方創生は、「日本の活力を取り戻す経済政策であり社会政策」と主張した。
治安・防災では、持論の「防災庁」設置に向けた準備の推進と、横行する「闇バイト」犯罪の検挙やインターネット上の募集情報の削除などに意欲を示した。
政治改革に関しては、政党から議員に支出される「政策活動費」の廃止や、政治資金を監査する第三者機関の設置などに向け、年内に必要な法整備も含めた結論を示すと約束した。