「闇名簿」どこから流出? 知らぬ間に「特殊詐欺・強盗事件」犯行グループの“標的”に…戦慄すべき“売買の実態”
“ルフィ事件”首謀者を知る人物の証言
筆者が取材した元裏社会の人間の話を裏付けるような証言がある。 “ルフィ事件”の首謀者とされる渡邉優樹被告らとフィリピンの収容施設で生活していた人物は、闇名簿について「役所から情報を取るのが一番、大きい。税金いくら納めてるとか。(Q.市役所に協力者がいる)そう。この時代にフロッピーですよ」(テレ朝news 2023年3月15日) と、納税情報などを含む個人情報が、役所から渡邉被告らの元に流出していたことを明かしている。 さらに同報道では、捜査関係者の証言として「自治体からの漏えい、情報の販売は絶対ある。言い切れるレベルで自信ある。場所によっては、セキュリティーチェック体制も緩い。ザルなところなんてたくさんあるよ」との言葉も紹介されている。 X(旧Twitter)でも「情報買います」との投稿が散見される。これらは「#名簿」「#情報」などと引っかかるようになっている。実際、この記事を書いている2024年10月上旬に「#名簿」で検索したところ、複数の投稿がヒットした(冒頭【写真】)。
「オートロックマンション」の盲点
昨年、筆者が保護司として担当する地域(福岡市中央区)では、「マンションの郵便受けが荒らされている」という苦情が上がっていると聞いた。 オートロックの高級マンションでも、郵便受けは無防備であることを忘れてはならない。個人の住所や家族構成がカネになる時代だ。郵便物といえども個人情報が記載されているので、名簿の作成が可能となり得る。郵便は毎日回収を心掛けていただきたい。自身と家族を守るためにも、日常のリスクヘッジに、個々人が留意すべきである。 廣末 登(ひろすえ のぼる) 1970年、福岡市生まれ。社会学者、博士(学術)。専門は犯罪社会学。龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、法務省・保護司。2008年北九州市立大学大学大学院社会システム研究科博士後期課程修了。著書に『ヤクザになる理由』『だからヤクザを辞められない』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに角川新書)等がある。
廣末 登