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絵本「パパの柿の木」多くの人へ 日航機事故遺族の谷口さんが英訳版の完成を墓標に報告

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上毛新聞

 1985年の日航ジャンボ機墜落事故で夫を亡くした谷口真知子さん(72)=大阪府箕面市=が、事故後の家族を描いた絵本「パパの柿の木」の英訳版「MY PAPA'S Persimmon Tree」を出版した。米国でも販売する予定で、米ボーイングにも献本するという。谷口さんらは21日、群馬県上野村の事故現場「御巣鷹の尾根」を慰霊登山し、墓標に出版を報告した。

◎高校生8人と半年かけて英訳 アメリカでも発売

 谷口さんの夫、正勝さん=当時(40)=は上司の葬儀の帰りに事故に遭った。墜落直前、機内に備え付けの紙袋に「子供よろしく」と走り書きし、ポケットに入れた。主婦だった谷口さんはアパート経営を始め、当時13歳と9歳だった息子2人を育てた。

 その2人も結婚し、家族で慰霊登山を続けた。ある時、孫が「生きているおじいちゃんに会いたかった」とつぶやいた。これをきっかけに思いを形に残そうと2016年に友人のイラストレーターと絵本を出版。正勝さんが植えた庭の柿の木の成長と共に、幼かった息子たちが悲しみから立ち直る姿を描いた。

 絵本は反響を呼び、小学校や幼稚園で読み聞かせの会を開くように。17年、米出版社から英訳版の打診があった。そんな中、関西学院千里国際高等部(大阪府箕面市)の授業で自身の経験から命の大切さを講演したところ、「授業の教材として英訳したい」との申し出を受けた。高校生8人と昨年4月から半年かけて完成させた。

 谷口さんはこの日、絵本を基に歌を作詞作曲した歌手の北川たつやさん(35)と共に尾根を目指した。墓標に好物だったビールや菓子を供え、英訳版を開いて見せた。「パパ、やっと英訳版が本になったよ。多くの人に見てもらいたいね」。昨年9月にも尾根に足を運び、完成が間近なことを報告した谷口さん。その後、台風19号(令和元年東日本台風)で尾根が被害を受けたことを知り、今年は登山ができるか不安だったという。

 「優しい人だった。『すごいな、真知子は』と褒めてくれると思う。来られて良かった。ずっと見守っていて」。墓標の前で、静かに目を閉じた。

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