コロナ後遺症患者の”現実” 発症から3年近く…社会復帰目指すも症状ぶり返す
富山テレビ放送
新型コロナウイルスの5類移行から1年半が経ち、社会には日常が戻りました。 その陰で、いまも「コロナ」に苦しみ続ける人がいます。 コロナ後遺症の実態を伝えるため、取材を続けている富山市の男性。 発症して3年近くが経ちます。男性の「その後」を追いました。 *富山市 西山あつしさん(仮名) 「散歩は一切、やめた。何もしていない。外で何かをするのは。散歩でぶり返す」 富山市の西山あつし(仮名)さん、30歳。 3年近く、新型コロナの後遺症に苦しんでいます。 もともとの頭痛や倦怠感に加え、最近、のどの違和感がぶり返し、家でもマスクをつけています。 *西山あつしさん(仮名)の妻 「症状がコロコロ変わっている。最初の頃の症状が出てきたり、新しい症状が出てきたり。スーパーに行く時は重い荷物を持てない。あとどれくらいかかるだろう」 オミクロン株が蔓延していた2022年3月、西山さんは新型コロナに感染しました。 それから頭痛や倦怠感、記憶力が低下するブレインフォグなど、様々な症状に苦しみ続けています。 これまで富山と石川の病院を受診しましたが、回復せず、いまは、オンラインで、東京のクリニックにかかっています。 仕事は1年半以上休み続け、退職し、医療関係の現場に勤める妻の扶養家族になりました。 *西山あつしさん(仮名)の妻 「働けばいい、内職でもすればいいのにとよく言われる。仕事させればとよく言われるが、本人もそんな気持ちでしょと思いながら聞いている」 夏…改善の兆しが見えていました。 *西山あつしさん(仮名) 「本当につらい時期は乗り越えたと思っている。希望は見えてきた。少し出かけることも苦ではない。反動がほぼなくなってきた。半日程度のレベルであれば、軽い仕事ならできると先生の診断をもらった。自分の体調に合わせてとなるので、どうなのかな」 この日、向かったのはハローワーク。 自分にあった仕事を探すことにしました。 *西山あつしさん(仮名) 「少し出かける、少し家事するのは最近問題なくできるようになってきている。立ち仕事や取引先とずっと話をするのはたぶんできない。一番の希望は内職系。なければ、座り仕事で軽作業」 *ハローワークの職員 「内職や在宅勤務ないですかとよく言われる。ハローワークにはあまりない。週2~3日の事務仕事がないわけではない。少しでも何かできたら前向きになれると思う。一緒に考えさせて」 *西山あつしさん(仮名) 「自分でエクセルの式を作ったことあるが、2時間ほどで頭がクラクラした。それを毎日4時間やるときついかもしれない。そんなこと言っていたら何もできない。頑張ってやって、結局ダメで体調が悪化すると何の意味もない。何がベストかわからない」 社会復帰への意欲と、症状が悪化することへの不安。葛藤をかかえていました。 *西山あつしさん(仮名) 「どうしても咳が2カ月前からぶり返して、年始くらいから少し働くために面接とか考えていきたいと思っていたが、見通しが立たない。諦めてはいないが、毎度どうしようもない」 夏に、改善の兆しを見せた症状は、その後、悪化と改善を繰り返していました。 *西山あつしさん(仮名) 「のどはコロナに感染後1カ月くらい咳が出ていた。そこから2年(症状が)なかったのに、薬を弱めたら咳が出た」 さらに、1日中、頭を冷やして過ごしています。 *西山あつしさん(仮名) 「冷やしたらすごい楽になる。(医師も)効いているのであればいいと。寒くなって風邪ひかないようにと言われた」 薬の量は以前より増えました。1日10種類以上の薬を服用しています。 治療費は月1万5千円です。 *西山あつしさん(仮名) 「失業手当が終わった。貯金を切り崩していくしかない。この間、夢見た。大泣きしながら、中学校の先生に泣きついて仕事を探してもらっている夢。最近、仕事をしたい欲があるのかな」 しかし、いまは、定職に就くのは難しい…それが「現実」です。 *西山あつしさん(仮名) 「今の年齢を考えたときに、雇ってくれる会社がどれだけあるか」 *西山あつしさん(仮名)の妻 「復帰してほしい。今の体に合ったところはほぼないかもしれない。そういう人たちが職に就ける会社ができてほしい」 Q(後遺症への)無理解がある? *西山あつしさん(仮名) 「無理解だとは思わない。利益を発生させることのできない人間を雇っても仕方ない。それはただのボランティア活動。そこは自分が頑張るしかない。今まで働いていたような体を取り戻す。社会復帰できるレベルに自分の体を戻すしかない」 明確な治療法や治療薬がないコロナ後遺症。 いまも、もとに戻れない人がいます。
富山テレビ放送