2年かけ完成! 割り箸を使い首里城の模型 脳出血のリハビリに励む沖縄の82歳 趣味を生かし「手の動きが良くなった」
首里城の焼失から5年。多くの人が復興を待ち望む中、一足先に首里城の模型を完成させた元高校教諭がいる。沖縄県北中城村島袋の比嘉淳さん(82)。脳出血の後遺症で左手を自由に動かせないが、リハビリも兼ねて取り組み2年をかけて仕上げた。(仲地清通信員) 【写真】つまようじ6万本で作った首里城の模型。4畳半が埋まる大作で、完成に18年を費やした 比嘉さんは10年前に脳出血で倒れ、左手が自由に動かなくなり、ろれつも十分に回らなくなった。その後、沖縄市比屋根の沖縄リハビリテーションセンター病院の「沖縄百歳堂デイケアセンター」に通ってリハビリに励んできた。 3年前、首里城の「再建」を投げかけたのは、同センターの介護福祉士の渡口由紀奈さん(30)だ。約40年、工業高等学校で生徒とものづくりに取り組んできた比嘉さんは、すぐに提案に乗った。「趣味の活動を取り入れた機能回復訓練が目的でした」と渡口さんは言う。 模型の素材となる割り箸は同センターが準備。首里城の写真を見ながら極小の柱、壁、瓦を作り、それらを接着剤でつける細かい作業を続けた。少しずつ形になるのがうれしくて、センターへ通うのが楽しみにもなった。 完成まで2年を費やした模型は幅50センチ、高さ40センチ。昨年、同病院内の五つの通所利用者の作品展で応募約50点の中から最優秀作品に選ばれた。仕上げの色付けの前段階でセンターに飾られている。 比嘉さんは「2026年に復元予定の首里城をまねて、色付けをする」と意欲をみせる。指導に当たった渡口さんは「リハビリのおかげで、左手の動きも良くなりました」と褒めていた。