2021春夏オートクチュール コレクション。その裏側と“パリの今”を現地リポート
2021年1月25~28日、2021年春夏オートクチュール・ファッション・ウイークが開催された。前回同様デジタル形式の公式スケジュールには、31ブランドが参加。新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響でセミロックダウン下にあるパリだが、いくつかのブランドは展示会を開催し、新年を迎えて街にも変化が見られた。オートクチュール ファッション ウィークの裏側と今のパリを、現地在住エディター、井上エリさんがリポート。 【動画・写真】2021年春夏オートクチュール コレクション 人気ブランドのショー
フランスは2020年10月30日から2度目のロックダウンが実施され、クリスマス前には小売店が営業を再開を果たすも18:00~翌6:00の厳しい夜間外出制限が敷かれているなかで、2021年春夏オートクチュール ファッション ウィークを迎えることとなった。
参加するすべてのブランドがデジタルもしくは無観客ショーを余儀なくされたが、「シャネル」や「フェンディ」は非常に限られた超VIPクライアントをショー会場に招き、「ディオール」も限定的に展示会を開いた。筆者はプレス向けに開かれた展示会へと足を運び、その移動の傍らスマートフォンでデジタル発表をリアルタイムで観覧する4日間のオートクチュール ファッション ウィークをパリで過ごした。
ソーシャルディスタンスの徹底措置がとられた2021春夏パリ・オートクチュールコレクション。会場のひとつ、パレ・ド・トーキョーの入り口にもこんな看板が。新型コロナウイルス感染症の影響により、多くのフィジカルショーはキャンセルされ、デジタルのみのイベントに置き換えられた。
目玉は、キム・ジョーンズ初のオートクチュール「フェンディ」
今季の目玉となったのは、キム・ジョーンズが新ウィメンズ アーティスティック ディレクター就任後初のコレクションとなる「フェンディ」だ。アーティスティック・ディレクターを務めるシルヴィア・フェンディとともに手掛けたコレクションをパリ旧証券取引所を会場に、ライブパフォーマンスで発表。
着想源となったのはイギリスの小説家ヴァージニア・ウルフの「オーランドー(Orlando)」。男性として生まれ女性として生を全うする主人公の両性具有の恋と冒険を描いた小説は、1928年の出版当時、女性に求める性規範と家庭内天使的な女性像を崩す前衛的な内容だった。