オリックス・漆原大晟 ここからが勝負
力強い直球と落差のあるフォークを武器に、昨季はウエスタン・リーグで最多セーブのタイトルを獲得。ただ、背番号は3ケタだった。「支配下選手になって、一軍でやってやる」強い決意を胸に腕を振り今、背中には2ケタ番号がある。 文=真柴健(日刊スポーツ) 写真=佐藤真一、BBM
順調にアピール
その一歩をかみしめて、マウンドに向かう。2018年秋の育成ドラフト1位指名でオリックスに入団した漆原大晟は、今春に支配下選手登録を勝ち取り、3ケタの『127』だった背番号は2ケタ『65』になった。 「やっとスタートラインに立てた。ここから、また頑張らないといけないと思っています。もちろん、うれしいですし、すぐに親にも連絡しました。ただ……。この世界では支配下選手登録されないと、一軍では投げられない。(2ケタ背番号は)通過点になるようにしたいです」
最速153キロの力ある直球に定評があり、プロ1年目の昨季は二軍で39試合に登板。主にクローザーとして最終回のマウンドに立ち、着々と経験を積んできた。ファーム公式戦の成績は1勝0敗23セーブ、防御率3.52を記録。ウエスタン・リーグで最多セーブのタイトルを獲得し、オフにはプエルトリコでのウインター・リーグで鍛錬を積んだ。派遣されたアテニエンセス・デ・マナティでは13試合に登板して0勝2敗3セーブながら、防御率0.77と着実に手応えを感じていた。 丹念に育てられた逸材に、春が来た。2月の宮崎春季キャンプ中に支配下選手登録されると、「ここからは結果の世界。もっと自分に厳しくいかないと。これからが勝負。気を引き締めて戦っていくだけです」と気合を入れた。「育成&勝利」を掲げる、球団フロントからの信頼も厚い。 福良淳一GMは「十分に一軍で戦力になるボールを投げている。(守護神の)ディクソンにつながるまでの間に投げてくれれば最高」と評価した。今春キャンプは育成選手で唯一の一軍発進。順調にアピールを重ねて2ケタ番号を勝ち取った。 チーム事情で当初の開幕予定日、3月20日の目前に先発転向も経験した。 「先発、中継ぎ、抑えのすべてを経験させてもらったので、すごく勉強になった。ロングリリーフや回またぎの気持ちも準備できるようになった」と振り返るように、実戦のマウンドで打者の風格を感じる時間が長くなった。