レッドソックスが7年総額約73億円で“キューバの怪物”と契約合意
この日、本拠地フェンウェイパークで報道陣に対応したファレル監督は序盤こそ「まだ、フィジカルチェックや行政面での手続きが残っている」と慎重で、「メディアに出たことが本当ならば」と断りを入れるなどしていたが、キューバの至宝を獲得した喜びに口調は次第にヒートアップ。「我々のスカウトが十二分に好ましいと思った素材だ。どの角度からみてもエキサイティングなアスリート。チームは物凄い投資をした」。話は起用法にも及び、「平均以上のスピードがあり、センターと右翼が守れる」と構想を語った。 カスティーヨがレッドソックスを選んだ最大の理由は、年俸7250万ドルの好条件に違いないが、早々と優勝戦線から脱落したチーム状況も功を奏したのではないかと言われている。争奪戦の最終候補に残ったジャイアンツとタイガースはプレーオフ出場の可能性があり、1年間のブランクもなんの、いきなりガチンコ勝負でプレーする形になる。レッドソックスは事実上の消化試合となっており、球団も即メジャーで起用せず、傘下のマイナー3Aで調整し、実戦の勘を取り戻す時間を与える方針。選手は楽な変遷時期を踏めるはずで、ファレル監督は「彼にとって悪いことではないだろう」と語った。 「セスペデスやアブレイユら、メジャーで活躍している選手が、その道を舗装したことによって、我々の方でも見たことのないキューバ選手について大まかな知識がある。具体的な数字を挙げるのは難しいかもしれないが、こういうことをやってくれそうだ、という予想はたてられる」と指揮官は言う。野茂英雄投手を始め、数多くの日本人投手がメジャーで活躍を重ねたことで、メジャー市場で日本人投手の評価が高まったように、今年の開幕時に19人がロースターに入り、そのうち5選手がオールスターに選出されたキューバ選手に対して、今や米国でのキューバ選手の市場価値が確立されつつあるということだろう。 レッドソックスは7月のトレードでアスレチックスから同郷のキューバ出身、セスペデスを獲得。受け入れる環境も整えていた。キューバコンビが外野を固め、田沢純一、上原浩治投手の日本人コンビがブルペンを固める。主砲はおなじみドミニカ共和国出身のオルティスで、遊撃手はオランダ領アルーバ出身のボガーツ、急成長の正捕手バスケスはプエルトリコ出身という多国籍軍団で、2015年、王座奪回を目指すことになる。ファレル監督は「これで、我々は、今オフの補強で投手陣にフォーカスすることができる」と語った。 今季レスター、ラッキー、ドゥブロン、ピービーの4人の先発投手をトレードで放出したレッドソックスは、カスティーヨ獲得に成功した次のターゲットは、手薄になった先発投手補強と焦点を絞る。いよいよ、今オフ、ポスティングでのメジャー移籍が注目される広島・前田健太獲りに本腰を入れ始めるかー。