「バカバカしいことを本気でやる」小林幸子「他の大御所とは違う」支持されるおおらかさとチャレンジ魂
紅白に出なくなっても意気揚々の理由
演歌歌手の小林幸子(71)が11月28日、都内でイベント『Simeji presents Z世代トレンドアワード2024』に出演。「えっ!? マジ若い~!」などと、Z世代から大きな声援を浴びた。 【違和感なし】すごい!宮田俊哉や中村獅童らと共演した『ニコ動』記念ショットの小林幸子が若い! 小林は10歳で歌手デビューし、今年、芸能生活60年を迎えた。長きにわたって演歌界を牽引してきた、まさに“ラスボス”的存在だ。 日本の歌手の“ステータス”の一つでもあった『NHK紅白歌合戦』には、1979年(第30回)から’11年(第62回)まで連続出場を果たしている。小林といえば、紅白で毎回披露していた舞台セットのような巨大衣装が有名で、美川憲一(78)との衣装対決が紅白の目玉となっていた。 しかし時代の流れなのか、演歌低迷、紅白自体のコンセプトの変化によって、’15年をもって出場することはなくなった。長年にわたって、共に紅白を盛り上げていた美川や和田アキ子(74)も出場がなくなって久しい。1年の締めくくりとして、晴れ姿を披露する場所がなくなっただけでなく、露出の場が極端に少なくなったことで、小林には大きなダメージかと思われた。しかし、彼女を古くから知るという大手レコード会社関係者は、 「彼女はいたって意気軒高です。しかも、その人気は衰えるどころか右肩上がりで、ファン層は若い世代から年配層まで広がっています。それは、彼女が過去に全く固執しない。常に時代に合わせ、バージョンアップを意識してチェンジする柔軟性を持っているからです」 と分析する。確かに、小林はじっとしていることはなく、常に新たな分野にチャレンジしている。紅白出場が最後となった年の3年前、『ニコニコ動画』の番組にゲストとして初出演した。 ◆機械ができて人間が歌えないわけがない! 『ニコ動』はインターネットで配信される動画共有サービスで、動画の画面上にリアルタイムでコメントを書き込める。ユーザーが思いを共有できることが最大の特徴だ。 巨大豪華衣装がゲームの最後に登場する最強の敵(悪玉)を彷彿させることから、若者を中心に“ラスボス”と呼ばれていた小林だったが、『ニコ動』出演を契機に若者のファンが増えだしたのだ。そして、自身もニコ動に動画投稿を開始。’13年9月に初投稿された『ぼくとわたしとニコニコ動画を夏感満載で歌ってみた』は2日半で再生回数100万回を突破している。 今まで接する機会のなかったネットの世界に惹かれた小林だったが、同時に手ごたえを実感し、新たに『ボカロ』に挑戦。ボカロとは音声合成技術「ボーカロイド」の略である。パソコンなどにメロディーと歌詞を入力して歌声を合成し、それを生身の人間ではなくバーチャルシンガーが歌い上げるというもので、その能力は、人間を遥かに凌ぐといわれている。小林は雑誌のインタビューでこう答えていた。 《100小節以上息継ぎするところがないとか、ありえないような曲もあります。でも、『機械ができて人間が歌えないわけがない!』なんて妙な闘争心が湧いてきてね(笑)》(『週刊女性PRIME』’21年6月19日配信) ’15年に特別企画枠で紅白に復帰した際に歌ったのが、バーチャルシンガー『初音ミク』のボカロ曲として有名な『千本桜』だった。あくなき挑戦を続ける小林は、’18年には『バーチャルグランドマザー小林幸子』としてバーチャルYouTuberの活動も行っている。 ◆小林幸子17才 さらに今年4月には、『ニコニコ超会議2024』内の「超踊ってみた」ブースに登場。ギャルファッションに身を包み「さちぴ☆」として、ボカロ楽曲を中心とするDJパフォーマンスや生歌唱を披露している。9月には「小林幸子(17才)」というアカウント名でTikTokを始めたりと、活動の幅は広がり続け、進化はとどまるところを知らない。 「現在放送中のNHK朝ドラ『おむすび』はギャルがテーマになっていますが、それより少し前に自身がギャルになったのも偶然ではないでしょう。常に、新しい情報をキャッチし、若い世代向けのものでも区別せずに、貪欲に取り入れる。彼女にはそれを楽しみながらできるというポジティブさがあります。大御所の歌手の方は難しい方が多いんですよ。頑固だったり、変なこだわりがあったり。でも小林さんはそんなところが全くない。 元々の性格なのかもしれませんが、おおらかな人です。小林さんが他人を批判したり悪口を言ったのを聞いたことがない。本人もおっしゃっていますが、どんな仕事でも“断らない”と。とりあえずなんでも受け入れて、やってみる、という姿勢が多くの世代から共感が得られる理由じゃないでしょうか」(前出・レコード会社関係者) 小林は誕生日を迎える1週間前の上記イベントに出演した際、情報番組のインタビューで新しいことに挑戦し続けるわけを聞かれ、こう語っている。 《バカバカしいことをね、本気で一生懸命やるってね。 これね、実に面白いですよ。楽しいですよ。(中略)私70ですけど、年齢とかそういったの全く関係ないです》 時代に流されず、飲み込まれず、時代の波に乗っていく小林の柔軟性が読み取れる。 次はどんな『小林幸子』が見られるのだろうか。期待は膨らむばかりだ。
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