福岡市内に引っ越したばかり…「とにかく引っ越ししないと」現役ドラフトで日本ハム獲得の吉田賢吾
2年連続で、ミレニアム世代の強打者候補が北海道にやってくる。日本ハムは9日、現役ドラフトでソフトバンクから大卒2年目の吉田賢吾捕手(23)を獲得した。 【一覧】24年現役ドラフトの結果 1軍では通算11試合出場にとどまるが、ウエスタン・リーグでは2年連続で打率3割超えをマークした。捕手登録だが主に一塁やDHでの出場が多かった打撃が魅力の有望株は、北の大地で大ブレークすることを誓った。 ◇ ◇ ◇ 吉田はフェリーに車を乗せて横浜の実家に帰省しようとしていた。その道中でドキドキしながら、ソフトバンク球団からの電話に出た。「車の運転中で1回目は取れず、なんかやらかしたかなと。記憶をさかのぼる間もなく、もう1回電話がかかってきたので、落ち着いた状態で電話が取れなかった」。心臓バクバクの状態で耳を澄ました。「『今日、電話があるということはどういうことか分かると思うから』と」。状況をのみ込み、スーツに着替えて球団事務所へ赴いた。 現役ドラフトで日本ハムへの移籍が決まったことを通達された。「すごく急だったので気持ちの整理はついてないけど、プラスに捉えるしかない」。過去2年はソフトバンクから同制度で移籍した阪神大竹、日本ハム水谷が新天地で大活躍した。「その波に乗りたいけど、お二方は自分たちでつかんだもの。自分次第だと思う。新たな場所で新たな生き方を見つけたい」と気持ちを前に向かせた。 日本ハムは吉田の打撃力を高評価した。木田GM代行が「彼の打撃は可能性を秘めている」と言った通り、1軍では通算11試合出場で打率1割8分5厘だが、2軍では2年連続で打率3割超え。捕手登録だが、一塁かDHでの出場が多かったのも織り込み済みで、木田GM代行は「ウチには捕手登録なのに…っていう選手はいっぱいいるのでね」とニヤリ。郡司、マルティネスのように吉田も生きる道はたくさんあるはずだ。 吉田が抱く、日本ハムのイメージは「雰囲気がとても良くて同世代の選手が活躍している」。いわゆるミレニアム世代の1人。万波、野村、田宮、水野、矢沢、金村ら10選手が在籍し、その多くが1軍戦力として躍動している。「それこそ水谷もそう。先日、渡辺陸の結婚式で会ったばかりで、いろんな話もした。話を聞いているだけでもワクワクする球団だなと思った」。11月中旬に退寮して福岡市内に引っ越したばかりだったが、「とにかく引っ越ししないと」と苦笑い。「チャンスだと思ってやりたい」。北の大地で野球人生を切り開く。【木下大輔】 ◆吉田賢吾(よしだ・けんご)2001年(平13)1月18日生まれ、横浜市出身。横浜商大高では1年秋からベンチ入りも、甲子園出場なし。桐蔭横浜大では神奈川大学リーグでMVP2度。22年ドラフト6位でソフトバンク入団。23年10月1日の日本ハム戦で初出場。今季7月5日楽天戦でプロ初安打。推定年俸850万円。181センチ、94キロ。右投げ右打ち。 ◆日本ハム来季の捕手事情 今季の登録は8人。最もマスクをかぶったのは田宮で100試合、続いて伏見が61試合出場。マルティネスは捕手登録ながら一塁やDHでの出場に限られた。捕手として6試合出場の郡司は三塁、一塁、左翼も兼務。清水は6試合、梅林は3試合、進藤は2試合、古川は1軍でマスクをかぶる機会がなかった。今秋ドラフトでは捕手の指名はなし。来季も田宮と伏見が軸となる中で、郡司やマルティネスとタイプが似た捕手もできる吉田がどこまで食い込めるか、注目だ。