TIME誌の「2021年の100枚の写真」に選ばれたテニスの写真とは?
テニスファンたちは今年の「全仏オープン」決勝をこの先何年も覚えているだろう。この試合では、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が5セットの末にステファノス・チチパス(ギリシャ)に逆転勝利を収めた。この試合を記録するために、ゲッティ・イメージズ (Getty Images)の写真家であるジュリアン・フィニー氏がその場にいたが、その時彼が撮った写真の一枚がTIME誌の「2021年の100枚の写真」に選ばれた。ATP(男子プロテニス協会)公式オンラインメディア等が報じている。 【実際の写真】フィニー氏が捉えた「全仏オープン」でのチチパス フィニー氏は、センターコートであるコート・フィリップ・シャトリエでチチパスがスライディングしながらバックハンドのスライスを打とうとしている姿を捉えているが、まるでチチパスにスポットライトが当たっているかのように、一筋の光が完璧に彼の上で輝いている。フィニー氏によると、この瞬間は「どこからともなく現れた」という。 「太陽はスタジアムの裏に沈み始めていたので、我々写真家が大好きないつもの良い光はコートから消えていた。第5セットがなければ、この写真は存在しえなかっただろう。新しいセンターコートの建設によって生まれた新しい光の筋があることには気づいていた。でもこの一瞬に起きたことは、私が計画していたものではない。これは、瞬く間に訪れては消えていく、いわゆる黄金の瞬間の一つだ」 「際立って特別だったのは、スタジアムの上の通路を通して漏れてくる微光で、同時にその光は私の背後の数列上がったところの窓にも反射していた。ステファノスも、そのすごく限られた範囲の光の中で低いスライディング・バックハンドを打っていた。全てが重なったんだ。これはスタジオ設備で実現できるような類の光の具合だよ」とフィニー氏は語った。 24-70mmのレンズを使用していたフィニー氏は、この写真を撮影するやいなや「何か特別なものを捉えた」とわかったという。これは報われる瞬間だ。 「ステファノスがコートのこの位置に低い姿勢でスライディングしてこのショットを打った瞬間、その場面をカメラでゆるく切り取ったのがうまくいったのが信じられなかった。光の広がり方、彼がこのショットを打ったまさにその位置、タイミング、彼の上半身の白いウェアが反射を強めるのに役立ったこと(すべてがうまくいった)。自分のカメラの裏側を見たとたん、すごく特別な写真が撮れたとわかったよ」 「ある友人が、この写真にはカラヴァッジオの絵画のような雰囲気があると言ったんだけど、かなりの褒め言葉だよね!他の誰も同じ写真を撮れなかったけど、それは最近そう起こることではない。これも大切なことだ」 チチパス自身も、「2021年の100枚の写真」を紹介したTIME誌の記事のリンクを自身のTwitterに投稿している。 (テニスデイリー編集部) ※写真はフィニー氏の撮影した2021年「全仏オープン」でのチチパス (Photo by Julian Finney/Getty Images)
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