【競輪コラム】代表引退の太田りゆ 「うまくシフト」して5度の完全優勝をマーク
女子ケイリンで9位に終わったパリ五輪を最後に、自転車競技の代表を引退しガールズ競輪に専念している太田りゆ(30=埼玉・112期)。先の小倉競輪祭女子王座戦決勝では突っ張り先行で2着に健闘。勝った佐藤水菜には3/4車身差されたが、見せ場たっぷりのレース内容は多くのファンに感動を与えた。 太田は「みんなが感動したと言ってくれるのはありがたいけど、自分はそうは思っていない。これから先、競輪選手としてやっていくからには、勝たないと意味がないと思っているので。来年はグランプリに出ることが目標。そのためにまずは一つ一つやれることをしっかりやっていきたい」と既に来年の暮れを見据えている。 その上で、17年から第一線で活躍した自転車競技日本代表について振り返った。「パリ五輪は完全燃焼しました。全力を出し切ってやれるだけのことはやった。五輪を目指したら人生を懸けてやらないとできない。メダルは欲しかったけど、ほかの選手たちがめちゃめちゃ強かった。納得して代表をやめたし全然後ろ髪は引かれていません。代表の期間を競輪選手として無駄にしたくなかったけど、うまくシフトできたし前に進めています」と現状を語った。 代表引退後は11日決勝の西武園をはじめ既に5度の完全優勝を経験。「こんなにポンポン賞金が入ってくるんだって思いました。飲みに行く機会は増えたけど普段は自炊。代表時代に習慣化されたものが続いています。代表として8年間積み上げてきたものがあるし、そこまですぐ弱くはならないと思う」。現在は代表時代に練習を積んだ伊豆とホームバンクのある埼玉を行き来する日々。来年4月には埼玉に拠点を移す予定だという。(鈴木 智憲) ◇太田 りゆ(おおた・りゆ)1994年(平6)8月17日生まれ、埼玉県出身の30歳。師匠は早川成矢。2017年、112期生としてデビュー。中学、高校時代は陸上競技を経験。パリ五輪ケイリン9位。1メートル65、68キロ。血液型B。 ◇鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年(昭42)生まれ、愛知県出身の57歳。92年スポニチ入社。97年から2年間競輪記者を経験。当時は神山雄一郎、吉岡稔真が東西の横綱として君臨していた。今年4月に26年ぶりに現場復帰。