核禁条約発効「日本も参加を」 被爆地広島「ここで終わらせぬ」
核兵器禁止条約が発効した22日、被爆地広島の市民や平和活動に取り組む若者たちは「歴史的な一歩」と歓迎の声を上げた。核兵器保有国や米国の「核の傘」に依存する日本政府が参加していないことを踏まえ、「今後の取り組みが問われる」との受け止めも広がった。 【一覧】米政権の核政策、バイデン氏とトランプ氏どう違う 広島市中区の平和記念公園。この日も多くの市民や観光客たちが原爆犠牲者に祈りをささげた。「8月6日に地獄を見た。発効は喜ばしいが、ここで終わらせてはならない」。犠牲になった父親と妹の慰霊のため訪れた被爆者の福永一衛(かずえ)さん(90)=同区=は、日本政府が条約に署名・批准をしていないことへの無念さもにじませた。 安佐南区の団体職員小丸涼さん(26)も「核兵器をなくしていくのはこれから。日本も参加に向けた姿勢を示してほしい」と求めた。 被爆2世で「韓国の原爆被害者を救援する市民の会広島支部」の中谷悦子支部長(71)=廿日市市=は「喜ばしい。ようやく緒に就いた感じだ」と発効を評価した。「世界各地で多くの核被害者が命を奪われ、苦しんできた。核の力に頼る国々はこの事実に向き合ってほしい」と訴えた。 「核の被害者となるのは私たち市民。若い世代で条約の認知度を高め、為政者を動かす力としたい」と強調したのは「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)の高橋悠太共同代表(20)=横浜市。平和記念公園でガイド活動をしている大学1年奥野華子さん(19)=広島市中区=は「核兵器を次世代に残さないよう、被爆者たちが声を上げ続けたからこその条約。このバトンを受け継ぎたい」と誓った。