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性行為30回で億万長者に、自殺者は3人に リアリティ番組が過激化したイギリスでの顛末

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文春オンライン

リアリティ番組は攻撃的な反応を生みやすいとする調査も

 アメリカでは、攻撃的な争いを売りにする監視型リアリティ番組が(暴力的なフィクションよりも)視聴者の攻撃的な反応を生みやすいとする調査結果も出ている。また、英国社会では「自ら出演を選んだのだからバッシングされるのも自己責任」といった向きも根強いとされる。  多くのリアリティ番組が「ヤラセ」とされることも重要だ。 UK版Cosmopolitan では、制作側がまずストーリーを決定し、それに沿う「キャラクター」として参加者を採用するケースが多いと報告されている。ヌードや性行為、喧嘩といった過激な行動のオファーを受けたキャストに追加報酬が払われるパターンもあるようだ。  視聴率をとるための「物語」が決められている現場では、ハラスメントも横行しやすくなる。『ラブ・アイランド』にしても、参加者を「動物」のように扱うプロデューサーがカップルを決めた上で贔屓のキャストばかりを映し、ときにはキスシーンを4回も撮り直すような状況だったと告発されている。

キャストへのサポートを義務づける議会決定も

 一般参加者を嘘発見器にかけて争わせる『ジェレミー・カイル・ショー』でも自殺者が発生したことによって批判がより高まった結果、2019年、キャストへの中長期的サポート等の調査報告を義務づける議会決定がイギリスで下された。  しかし、2020年には、またしても自殺者が出てしまう。恋人への暴行疑惑で起訴されていた『ラブ・アイランド』司会者キャロライン・フラックが遺体で発見されたのだ。英国王室ハリー王子との交際歴もある彼女の場合、「リアリティショーの女王」と呼ばれるほどのベテランだった。ダンス・コンテスト番組優勝で知名度を上げて前出『ビッグ・ブラザー』シリーズのホストも務めていたのだから、人生をリアリティショー・ビジネスに捧げた存在と言える。  亡くなる前日に母親に送られたという、公表を見送った声明文には、暴行疑惑の否定とともに、誹謗中傷を受ける立場を生業とした人生、その後悔がつづられている。 「多くの人々にとって、暴行罪で起訴されることは、人生観を変える経験かもしれません。しかし、私にとっては、もう普通のことになっていました。長いあいだ、ストレスに蓋をしていました。10年以上もの間、辱めや悪意ある意見を浴びせられることは仕事の一部だと自分に言い聞かせていたのです」「キャリアを取り戻したいわけではありません。ただ、どうしたら自分自身と家族の人生を取り戻せるのか考えています」。

「誰も見ないなら、誰もつくらないだろう」

 自殺・自傷防止の超党派議員団に参加するチャールズ・ウォーカー下院議員は、大勢の視聴者を惹きつける残酷なリアリティ番組は大衆の反映であると語った。「この問題は社会的な連帯責任だ。そうした番組を誰も見ないなら、誰もつくらないだろう」。  司会を替えて新シーズンを放送する予定の『ラブ・アイランド』は、今やアメリカやドイツを含めた15カ国で制作・放送されるグローバル・コンテンツとなっている。

辰巳JUNK

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