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EU首脳会議「メルケル首相引退への花道」復興基金まとまるか。「倹約4カ国」の動きがカギ

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BUSINESS INSIDER JAPAN

6月18~19日に行われるEU首脳会議(欧州理事会)について、筆者への照会が増えている。 【全画像をみる】EU首脳会議「メルケル首相引退への花道」復興基金まとまるか。「倹約4カ国」の動きがカギ 永年の課題であるユーロ圏の債務共有化への一里塚として、設立に向け調整中の「欧州復興基金」に注目が高まっており、今回の首脳会議にかかる期待は小さいものではない。 後述するように、2021年9月をもって政界引退を宣言しているドイツのメルケル首相にとって、債務共有化は最後の“偉業”であり、“花道”としての位置づけになるとの見方もある。 以前から債務共有化に反対してきたドイツがここに来て態度を軟化させているのはその証左と思われる。

EUのコロナ対応策の全貌

懸案の欧州復興基金の展開だが、EUは基金以外にも並行していくつものコロナ対応策を打ち出しており、さまざまな数字や枠組みがヘッドラインで交錯して状況把握だけでも容易でない状況だ。まずは現時点で把握できている情報を整理しておきたい。 EUのコロナ対応策には、これから設立される復興基金のほか、4月に決定された財政措置(総額5400億ユーロ)もある。さらに最近は、EU多年度予算(Multiannual Financial Framework、2021~27年の7年間)をめぐる報道も出てきていて、これが復興基金と重要なかかわり合いを持っているからなお複雑だ。 日常からEUをウォッチしている者でも混乱しやすい状況が足もとにある。 まず、4月に決まった財政措置は総額5400億ユーロの政策パッケージだ。これは、以下の3本から構成されている。 欧州投資銀行(EIB)の支援による企業の保護=2000億ユーロ 欧州安定メカニズム(ESM)の特別融資枠による国家予算の保護=2400億ユーロ 欧州委員会の一時的な助成金による雇用と労働者の保護=1000億ユーロ この5400億ユーロはコロナショックを緩和するのが狙いで、いわば「最初の一手」の位置づけだ。 4月23日に開かれた前回のEU首脳会議は、上記の5400億ユーロに加え、コロナショックを乗り越えるための復興基金を検討することでも合意し、欧州委員会に枠組み策定を託した。 復興基金は、パンデミックが終息し、経済が立ち直り、加速していく2021年以降に求められる「第二の矢」の位置づけと考えられる。 その後、欧州委員会は枠組み検討を進め、5月27日に総額7500億ユーロの基金「次世代のEU(Next Generation EU)」を発表した。これがいま「復興基金」と呼ばれているものだ。 財源の議論まで含めて制度設計を評価すると、復興基金は明らかに債務共有化の性質を備えており(後述)、だからこそEUにとって歴史的な意味を持ち、同時に意見集約が難しいテーマといえる。 また、欧州委員会は復興基金の発表と同日、1兆1000億ユーロ規模のEU多年度予算も発表している。両発表が同じタイミングになったのは、復興基金が財源を多年度予算に依存しているためだ。 ここまで紹介した金額を整理すると、コロナショックへの対応としては1兆2900億ユーロ(下表の[1]+[2])、2021年以降にEUが支出する資金規模としては1兆8500億ユーロ([2]+[3])ということになる。 いずれも欧州委員会が公式文書で引用している数字だが、復興基金の7500億ユーロをダブルカウントしているのでわかりにくい。

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