「羽生結弦選手の演技には“ロジカル”を感じる」 国立大理系スケーター・杉山匠海、ロシア好きの一面も
ロシア好きから「タクーシャ」の愛称も
体の柔軟性を生かしたスピン、両手を上げて跳ぶ軽やかなタノジャンプ。選手の中では独特の雰囲気を持っている杉山。そしてロシアの女子選手の大ファンでもある。あまりの熱狂ぶりにロシア語の親しみを込めた呼び方にちなんで、杉山のことを「タクーシャ」と慕うファンもいる。 ハマったきっかけは2018~2022年にかけて活躍した、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワ、アリョーナ・コストルナヤの演技だった。彼女たちが出場する大会を映像で追いかけるようになり、刺激を受けた。ほかにもエフゲニア・メドベージェワやエレーナ・ラジオノワなど、次々と名前が挙がる。 タノジャンプもロシアのコーチが契機だった。親の仕事の都合で高校時代に1年間アメリカに住んでいた時、所属先のデトロイトスケーティングクラブで、ロシアのコーチを招いたレッスンが行われた。陸上トレーニングで手を挙げてジャンプする方法を教わり、日本に帰国後、氷上で試してみるときれいに跳べた。当時、ロシア選手を中心にタノジャンプを取り入れる流れがあり、杉山もプログラムに入れるようになったという。 ロシア以外だとキム・ヨナ(韓国)、日本女子なら樋口新葉(ノエビア)。樋口の『ライオンキング』を全日本選手権で見て感動したという。
羽生結弦選手の演技に感じた“ロジカル”
男子はジェイソン・ブラウン(アメリカ)にあこがれる。また、宇野昌磨さんの演技はどれも好きで、とくに「Dancing On My Own」がお気に入りだ。 そして羽生結弦さん。「羽生結弦選手の演技には“ロジカル”を感じます」と尊敬する。「曲の作りがうまいです。相当研究されて作られていると思います。『序奏とロンド・カプリチオーソ』を初めて全日本で見た時に、繰り返す音楽に合わせてステップも同じ組み合わせになっているという考察がツイッターに出ていて。それが本当だとしたら、すごくロジカルですよね。本当に(パソコンで)プログラムを組んでいるみたいだと思いました」 「秋によせて」も強く印象に残っている。「体の動きとしては多くないのに視覚情報を含めて脳みそが情報過多になってしまって。マネできるものはないと思いました。一番好きなのはステップに入るところです。くるぞ、くるぞと思って見ていました」 普段のおっとりした話し方から一転、なめらかな語り口にスケートへの熱い思いが伝わってきた。