鳴り止まぬ”ロニー”コール。NISMO FESTIVAL閉幕、ラストレース控えるクインタレッリに歴代の相棒と家族から花束
富士スピードウェイで開催されたNISMO FESTIVAL 2024。今季限りでスーパーGTを離れるロニー・クインタレッリには、仲間のドライバーたちやファンから、惜しみない拍手と祝福が注がれた。 【ギャラリー】スーパーGTを彩った“カルソニックブルー”のマシンたち 今年はNISMOブランドの40周年ということで、コース上で実に豪華な催しが行なわれた。 NISMOの歴史を彩ったレースマシン、コンプリートカー、ロードカーがデモ走行を行なったのだ。 グループAマシンのリーボックスカイラインから始まり、デイトナ24hレースを制したR91CPやル・マン24時間レースで3位入賞したR390GT1などの伝説のマシンや、R34 Z-tuneといったNISMOが手がけたコンプリートカー、NISMO仕様のロードカーがデモランを行なった後、ピットロードで並ぶ様子は壮観の一言。その列をフォーミュラEのGen2マシンが締めくくり、NISMOの歴史を表現した。 今回は、台風の影響を受けて延期されたスーパーGTの鈴鹿戦が最終戦として翌週に開催されることもあって、恒例となっている何でもありのハンディキャップレースは実施されず。それでも、スーパーGTやスーパー耐久、GTワールドチャレンジ・アジアを戦った車両が最後はパレード走行を行ない、集まったファンに改めてその勇姿を見せた。 各車がメインストレートにマシンを並べ、イベントはフィナーレに突入。そして、唯一遅れてメインストレートに入ってきたのが、クインタレッリが乗る23号車MOTUL AUTECH Zだった。 今季タッグを組んでいる千代勝正、共に2度ずつタイトルを獲得した柳田真孝、松田次生がそれを出迎え、それぞれと熱い抱擁を交わしたクインタレッリは、マイクの前で自身のキャリアを振り返った。 「僕は2003年に日本に来て、最初はフォーミュラで走っていました。スーパーGTのことは詳しくは知らなかったんですが、2004年の十勝だったかな? 山口県のマンションからテレビで初めてスーパーGT(当時はJGTC)を見ました。そのレースで勝ったのがクルムさんと影山さんで、赤いクルマ、赤いレーシングスーツ。それがスーパーGTとの出会いでした」 「次の年、オートポリスのレースを見にいって、日産の応援団を初めて見ました。いつか僕もああいう仲間からサポートを受けたいなという夢を持っていました」 「2008年に夢が叶って日産のドライバーになり、いろんな人たちにお世話になってこの日を迎えることになりました。この17年間は本当に幸せでした。本当にありがとうございました」 「最後になりますが、来週末に鈴鹿でスーパーGTの最終戦が開催されます。鈴鹿で最後に僕の夢のクルマ、23号車のステアリングを握ります。チームの皆さんと力を合わせて全身全霊で走ります」 「最後まで応援してください。長い間本当にありがとうございました」 長年コンビを組んだ松田から花束を贈られると、ふたりは再びガッチリと抱擁。松田は「計11年一緒にやらせていただきましたけど、本当にいいドライバーだしナイスガイです。悲しいですけど、ロニー選手の思いを胸に、来年からまた必死でレースを頑張っていきたいです。応援してね」と言葉を贈った。 当初の予定では松田のコメントのみで次に移る予定だったが、柳田にもマイクが渡されると「23号車のドライバーとして、これだけのファンの皆さんの前で引退できるというのはなかなかないことです。もう一戦ありますから最後、頑張ってください。本当にお疲れ様でした」とコメントした。 カート時代からクインタレッリが憧れだったという千代は目に涙をためながら、「最後のレースを最高の形で締めくくれるように一緒に頑張りたいと思うし、これからのNISMOは僕たちが、ロニーさんの背中から学ばせてもらったことを受け継いで頑張っていきます」と語った。 さらにここで特別ゲストのクインタレッリの奥様と娘さんが登場。花束を渡しお父さんを労うと、ファンのこれまでのサポートに感謝を述べた。 最後に、日産モータースポーツ&カスタマイズの片桐隆夫CEOが閉会の挨拶に立つと「ロニー、長い間本当にありがとう。寂しくなります」と開口一番。NISMOブランドの40周年を迎えられたことについて「支えてくださったすべての皆様のおかげです。深く御礼を申し上げます」と話し、「これからも皆様をワクワクさせるような活動と商品でNSIMOブランドの歴史を積み重ねて参りたいと思います」と語った。 「スーパーGTの活動に関しましては、チャンピオンの可能性はなくなってしまいました。本当に申し訳ありませんでした。しかし最後の意地を見せるべく、来週の鈴鹿ではロニー・クインタレッリ選手はじめ全力で戦います。皆さんも全力で応援いただけるとありがたいです」 「来週のレースが終わると同時に来季に向けた準備が本格化しますし、フォーミュラEも来週末土曜日より開幕します。来季も皆様をワクワクさせられるよう、全力で取り組みますので引き続き応援よろしくお願いいたします」 これで、2万8500人ものファンが訪れたというNISMO FESTIVALは閉幕。クインタレッリはスタンドで応援旗を振る日産応援団に近づくと、スタンドの前でかつての相棒や日産の関係者と記念撮影。そんなレジェンドに背後のスタンドからはいつまでもロニーコールが注がれていた。
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