中国はアフリカのもはや「ATM」、7兆円超もの現代化支援は習近平の酔狂か深謀遠慮か
9月4~6日にかけて、北京で「中国アフリカ協力フォーラム」が開催された。中国はアフリカに対する3600億元(約7兆1500億円)の資金援助を表明。欧米型とは異なる形でアフリカの現代化を支援し、価値観や統治ルールなどの「中国化」を狙う。だが、経済が低迷しているいまの中国にそんなパワーはあるのだろうか。 【写真】強烈なインパクトを放つ、北京に馳せ参じたアフリカ53カ国の首脳らの集合写真。中国が推進する「アフリカの6つの現代化」とはいったい何か? (福島 香織:ジャーナリスト) 中国アフリカ協力フォーラムが9月4日から6日の日程で北京・人民大会堂で開催され、習近平と53カ国のアフリカ諸国元首が一堂に会した。2000年にこのフォーラムが始まって以来の最大規模だ。 しかも習近平を中心にズラリとアフリカ首脳元首が主席台のひな壇に並び、アフリカ諸国官僚たちが一般席にびっしり座るという「全人代」や「中央委員会全体会議」形式の大規模会合だった。CCTVに流れた画面のインパクトはかなり強烈だ。 人民大会堂のひな壇も一般席もアフリカの人たちの褐色の顔で埋め尽くされる中で、習近平が中央でとうとうと演説を行うと、アフリカ諸国の元首、官僚たちが神妙に聞き入り、熱烈に拍手しているのだ。まさしく、中国皇帝と冊封を受けた異国の君主たちの構図だった。 そして皇帝・習近平は肌の色の違う君主たちに、3600億元(約7兆1500億円)の対アフリカ資金援助を宣言。中国の経済社会がどん底であえいでいる中で、はたしてこの大盤振る舞いは習近平の酔狂なのか。それとも深謀遠慮なのか。 アフリカには全部で54の国家がある。つまり台湾と国交を結んでいるエスワティニ以外のすべての国の元首と主要官僚が北京にはせ参じたのだった。 習近平は開幕式の演説で3600億元にのぼるアフリカ諸国に対する資金援助を宣言。内訳は2100億元のクレジットローン、800億元の各種援助、700億元の中国企業による投資だ。さらにアフリカ企業が中国でパンダ債(人民元建て債券)を発行することを奨励し、中国の広大な市場をアフリカ企業に開放すると約束した。 さらに以下のように語った。 「現代化を実現することで、世界各国が権利を剥奪することがあってはならない。西側現代化のプロセスで多くの途上国には重い苦難がもたらされた。第2次大戦終結後、中国とアフリカは第3世界を代表して独立と発展を相次ぎ実現し、現代化プロセスの歴史の中の不公平を是正し続けてきた」 「中華人民共和国は国家誕生75周年を迎え、揺らぐことなく中国式現代化を全面的に推進して強国建設、民族復興の偉業を行っている。アフリカもまさに新たな覚醒によって、アフリカ連合『アジェンダ2063』に向けて現代化目標をしっかりと歩み出した。中国とアフリカは現代化の夢を追い、必ずやグローバルサウスに熱い現代化の潮流を起こし、人類運命共同体構築の新章を書き綴るのだ」 さらに6日のフォーラム閉幕式には習近平はこうも語っている。