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「喫煙者はコロナに感染しやすい」のウソ 志村けんさんの死でも話題に

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デイリー新潮

 新型コロナウイルスは世界を暗雲で覆いつくした。  感染の恐怖、経済活動の中止で生活の糧を奪われる不安、そしてパニックが巻き起こす人心の荒廃。 血圧の薬って一生飲み続けなくちゃいけないの?  つまり、コロナは人々から「平常心」を奪ったのだ。

 冷静さを失った人間は、心の安寧を求めてスケープゴートを探す。「敵」をでっち上げることによって、「我々」のほうが勝っているから大丈夫だと自らに信じ込ませる。だが、それで事態が変わるわけではない。その敵は所詮作り上げられたものに過ぎず、真の敵ではないからだ。  真の敵、それは安易に敵をでっち上げて納得しようとする自身の心そのものにある――。 〈中国の研究者が武漢で新型コロナウイルスに感染して肺炎を引き起こした78人の患者を分析すると、喫煙歴がある人は、ない人に比べ重症化リスクが約14倍に跳ね上がった〉(6月17日付毎日新聞朝刊)  コロナの猛威に襲われるなか、こういった「敵」はタバコであるかのような言説が相次いだ。しかし、この記事の記述を見て違和感を覚えないだろうか。 〈78人の患者を分析すると〉……。そう、世界のコロナ感染者は累計1千万人を超えたというのに、そのうちのわずか78人を調べた結果などを紹介した上で、喫煙者は重症化リスクが高いと指摘しているのだ。  しかも、件(くだん)の報告をさらに詳細に見てみると、 「78人のうち喫煙者は5人いて、そのうちの3人が重症化したために、喫煙者の重症化リスクは高いというのです」(ある研究者)  例えば新聞社が大好きな世論調査で、78人に電話調査を行ったところ5人が左党で、そのうち3人が「安倍政権支持」と答えたとして、愛飲家における支持率は60%で酒は政権支持傾向を強める――そんな結論を導き出すことはいくら何でもできまい。ところが、ことタバコの問題になると、こうした乱暴が罷(まか)り通ってしまうのだ。「敵」なのだから、どれだけぞんざいに扱っても構わないというわけである。  免疫学を専門とする東洋大学理工学部教授の加藤和則氏が首を捻(ひね)る。 「分母が78人の研究で何かの判断を下すのはあまりに無理がある。年齢、持病、遺伝子多型など、他の重症化リスクに目配りする意味でも分母が少な過ぎます」  また、日本禁煙学会なる団体は、ホームページ上で〈喫煙者は(コロナに)かかりやすく、重症化しやすい〉と断言している。喫煙者の重症化リスクのひとつの根拠は先の「わずか78人研究」のようだが、それ以前に本当に喫煙者はコロナにかかりやすいのだろうか。  前出の研究者が冷静な目でこう分析する。 「中国の喫煙率は27・7%ですが、中国の1590人のコロナ感染者を調べた報告によると、そのうちの喫煙者の割合は7%に過ぎませんでした。また、米国の4103人の感染者を調べた報告では、喫煙者の割合は5・1%。米国の喫煙率13・8%を大きく下回っています」  続けて、やはり免疫学の専門家である順天堂大学特任教授の奥村康氏が、 「韓国のコロナ感染者は男性が約5千人で女性は7千人ほどと、女性のほうがコロナに感染しやすいと見ることができます」  として、こう後を受ける。 「しかし、韓国の喫煙率は男性が35・8%であるのに女性は6・5%と非常に低い。喫煙によってコロナに感染しやすくなるのなら、男性感染者数が圧倒的に多くなければおかしいと思います。さらに4月末にフランスで発表された研究によると、コロナ患者343人と軽症感染者139人を調査したところ喫煙者は5%に過ぎませんでした。フランス国民の喫煙率は35%ですから、この研究からは喫煙者はコロナに感染しにくいと見ることができます」  そのメカニズムは、 「フランスの研究では、タバコに含まれるニコチンがウイルスを抑制していると分析されていますが、私は喫煙という行為そのものが免疫力を向上させていると見ています。というのも、喫煙者のノドには日常的に軽い炎症が起きています。これが適度な刺激となって、炎症細胞を標的とするNK細胞などの自然免疫が活性化し、その結果、新型肺炎に感染しづらくなっていると考えられるのです」(同)  加えて言うには、 「一般的にストレスの減少はNK細胞の活性化につながると言われていて、喫煙はストレスを軽減させることから、この点でも喫煙が効果を発揮しているのではないでしょうか。そもそも、タバコの有害性の象徴とされる肺がんリスクを直接的に立証した研究者はいません。私もネズミをタバコの煙づけにする研究を行ったことがありますが、その結果、肺がんを発症したネズミはいませんでした」(同)  いずれにせよ、喫煙が新型肺炎にどのような影響を与えるかについては未解明な部分が多い。 「先ほどのフランスの研究のように、タバコがコロナ感染において良い影響をもたらすというデータも存在する。悪い面だけを見て排除しようとするのではなく、フラット且(か)つフェアな目線で医学的に評価する必要があると思います」(同)

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