2022年は第3号被保険者の縮小に向けた、4回目の年金改正が実施される
国民年金の被保険者の種別は、ねんきん定期便などを見ると分かるように、次のような3種類があります。 元記事で画像を全てみる 【第1号被保険者】 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のうち、第2号や第3号になる要件を満たさない方(例えば自営業者、フリーランス、農林漁業者、学生、無職者など)は、国民年金の第1号被保険者になります。 【第2号被保険者】 厚生年金保険に加入する会社員や公務員は、20歳未満や60歳以上の方(65歳以上で老齢年金の受給権がある方を除く)も含めて、国民年金の第2号被保険者になります。 つまり中学や高校を卒業した後に、すぐに正社員として就職した場合には、20歳になる前に国民年金に加入するのです。 【第3号被保険者】 第2号被保険者に扶養されている、年収が原則として130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者は、第2号被保険者の勤務先を経由して所定の届出をすると、国民年金の第3号被保険者になります。 以上のようになりますが、この中の第2号被保険者だけは、国民年金と厚生年金保険に同時加入しているのです。 そのため第2号被保険者だった期間がある方については、国民年金から支給される「老齢基礎年金」に加えて、厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」を、原則65歳から受給できます。
厚生年金保険の適用拡大で第3号被保険者が縮小する
国民年金が本格的に開始されたのは1961年4月になりますが、第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は、当初は強制加入ではなかったので、加入したい方だけが任意加入したのです。 しかし障害状態になった時に障害基礎年金を受給できなかったり、離婚した時に無年金になったりしたことが問題になったため、1985年に実施された年金改正で強制加入になったのです。 また任意加入の時は各人が保険料を負担したのですが、強制加入になってからは第2号被保険者が納付する厚生年金保険の保険料の一部を、第3号被保険者の保険料に活用したのです。 そのため第3号被保険者であった期間は、国民年金の保険料を各人が納付しなくても、納付したという取り扱いになります。 一方で第1号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は、各人が国民年金の保険料を納付する必要があります。 こういった点を不平等と感じる方がいたり、年収を130万円未満にするために就業を抑制する方がいたりしたので、第3号被保険者の縮小や廃止に関する議論が開始されたのです。 最初に議論が行われたのは、第3号被保険者を含めた女性の年金問題を検討するために、厚生労働省が2000年に設置した、「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」だと思います。 この後にも社会保障審議会の年金部会で、引き続き議論が行われたのですが、最終的な結論は出せなかったのです。 しかしパートなどの短時間労働者に対する、厚生年金保険の適用を拡大し、第3号被保険者を縮小していく方向性については、参加者の意見が一致しました。 そのため厚生年金保険の適用拡大は、正社員と短時間労働者の年金格差を解消するという目的だけでなく、第3号被保険者を縮小するという目的でも実施されているのです。