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3Dプリンターをフル活用した低速EV車『YOYO』デザインは自由自在、可能性は無限大!/オートスポーツweb的、世界の自動車

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オートスポーツweb

 日々、世界各国の自動車にまつわるWEBサイトやSNSを隈なくチェックしているオートスポーツweb新車ニュース班が「これは面白い!」と感じた珍事(?)や情報をピックアップしてお届けする『オートスポーツweb的、世界の自動車』。 【写真】XEV YOYOのインテリア  世界には、ガラスを除く外装のすべてを3Dプリンターで製造するEVが存在する。しかも、わずか3日間の工期で完成するという。  3Dプリンターは自動車製造において幅広く使われているが、新型コロナウイルス感染症における医療従事者支援として、医療用のフェイスシールド製造にも活用された“話題の技術”でもある。  今回は、3Dプリンターをフル活用して生まれたEV自動車『XEV YOYO(ヨヨ)』をご紹介します。 * * * * * * 『YOYO』はLSEVというカテゴリーに属するEV。LSEVとはLow Speed EVの略称で、直訳すると“低速度向け電気自動車”という意味だ。車両デザインはイタリアに拠点を持つ香港のXEV社が担当し、中国の造形メーカーPolymakerと共同で開発を行った。製造拠点は中国という。  XEV社は、2018年に誕生。都市型スマートモビリティの開発を念頭に掲げ、安価で環境負荷の低い車両の開発を通じて、持続可能な自動車社会を作ることをポリシーとしている。  Polymakerは2013年に上海で誕生したベンチャー企業で、創業時から3Dプリント技術とその材料開発に着手。アメリカやオランダにも拠点を持つ成長著しい企業だ。  そして2018年にYOYOが発表された。その直後にイタリアの郵便局から5000台の注文が依頼されたことが話題になった。  早速、YOYOの詳細を見ていこう。  YOYOは2人乗りで、最高時速70km、航続距離150km、販売価格は70万円~100万円。短距離移動を目的に開発された。  使用されるコンポーネント数は57個。外装の素材は独自に開発されたエンジニアリングプラスチックで、そのすべてが3Dプリンターで製造される。開発工程も非常に短く、3~12カ月で設計を完成させたそうだ。  安全性にも憂慮されており、外板が取り付けられる骨格部分には金属製のフレームを採用している。  YOYOのボディサイズは全長2500mm、全幅1500mm、高さ1575mm。総重量は650kg(バッテリー300kg込み)だ。これは、欧州L7と呼ばれる車両カテゴリに適合しており、欧州においては仮免許もしくはオートバイ免許しか持たない方でも運転することが可能となる。  外装のデザインはオーダーメイドで作成することができる。ユーザーの要望に合わせて、XEV社のデザイナーがデザインを考案するという流れだ。  また、販売されたデザインはデータベースに集約され、ユーザーは過去のデザイン例を参考にすることもできる。  3Dプリンターの最大のメリットは、外装部品の製造に必要な“型”が不要なことだ。これにより維持コストや保管場所が不要となる。XEV社のような小規模ベンチャー企業でも車両の量産がしやすくなる。  さらに、データを入力すれば変幻自在な加工が可能で、顧客ひとりひとりの注文にも融通が利く。パーソナライズされた物の販売サービスは、自動車メーカーを含めたものづくり企業が目指している新たな製造スタイルだ。  ちなみに2018年に開催の中国積層造形展向けに発表されたYOYOの資料の中には、人気アニメ、ポケットモンスターのピカチュウを思わせるデザインの製造も可能と説明されている。その車両イメージ画像には耳と尻尾がついている。  懸念事項もある。後続距離が150kmとのことだが、資料にはエアコン使用時の電力消費量は明かされていない。  またルーフがガラス張りなために、採光性は良いが夏場は車内の暑さが心配だ。  YOYOのようなLSEVの将来性に関してはどうだろう。  製造コストが低く、CO2排出量ゼロという強みは欧州市場には受け入れられやすいだろう。欧州はライドシェアが盛んで、ことドイツにおいては『CAR2GO』というカーシェアリングサービスが都市圏を中心に展開中だ。  CAR2GOが提供する車両には、ダイムラー社が手がける『Smart Fortwo』という2シーターがラインアップされていて、街乗り需要を満たしている。  また、Smart FortwoをEV化した車両でのカーシェア実証実験がすでに開始されており、LSEVが暮らしの中に“当たり前に存在する”日々はすぐそこまで来ているだろう。  日本においても、LSEVはすでに生活に溶け込みつつある。例えばトヨタ車体が製造し、セブンイレブンの配達車両EVとして使用されている『コムス』がその筆頭だ。  また、持続可能社会の推進を考慮すればEVの存在は欠かせない。欧州同様に、特に短時間、近郊での利用が盛んなカーシェアにLSEVが用意される未来も考えられる。  現在カーシェアを利用する企業も増えてきており、企業の環境意識に対するイメージ戦略として、EV車両を使用するシーンも増えるだろう。現に米AmazonではCO2削減策として社用車をEVに切り替えると宣言している。  さて『YOYO』の購入方法だが、クラウドファンディングで購入権を獲得する方法が採用されていたが、残念ながら現在は終了してしまっている。出荷開始は2020年12月からの予定なので、イタリア全土を走行する郵便配達シーンも追跡していきたい。 [オートスポーツweb ]

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