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動物を殺さず作る「培養ステーキ肉」、環境保護と食糧危機に備えた東大と日清の共同研究が世界の先頭を走る〈AERA〉

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 レベル2は「植物肉」。えんどう豆や大豆を原料に遺伝子組み換え技術を用い、肉と同じ風味や栄養価を持たせた食材だ。米インポッシブル・フーズ社が開発し、バーガーキングで発売されている「インポッシブル・ワッパーバーガー」が知られる。  レベル3、4が研究段階の「培養肉」だ。レベル3は「培養ミンチ肉」。13年にオランダの大学教授、マーク・ポスト博士が世界初の培養ミンチ肉で作ったハンバーガーの試食会をロンドンで開き注目を集めた。一つあたり約3千万円かかり、商業化にはコスト面が課題だ。  その先のレベル4が、日清食品と竹内さんが共同で取り組む「培養ステーキ肉」だ。 ■本物そっくりの正攻法  培養ミンチ肉と培養ステーキ肉の違いは何か。牛や豚などから直接採取した少量の筋細胞を細胞培養技術で増殖させるのは同じだが、違いは筋組織の有無だ。竹内さんはこう説明する。 「培養ミンチ肉は、筋組織ができていない単なる細胞の塊でも作れます。私たちが目指すのは一方向に筋組織がそろい、筋肉の繊維の中にたんぱく質が縞模様に配列した『サルコメア構造』を持つ、厚みのあるブロック肉です。これはフェイクとリアルの違いに相当します」  人工の添加物や化学物質を使って表面上、本物の肉の味や食感に近づけるのではなく、肉が本来備えている組織レベルの特徴まで培養で忠実に再現する。限りなく本物に近い肉を作り上げる正攻法の戦略だ。 「本物の肉に形態も機能も近づけば近づくほど、肉本来のおいしさが出てくるだろうという仮説のもとに研究を進めています」(竹内さん)  竹内さんの専門は機械工学だ。東大生産技術研究所でものづくりを研究してきた竹内さんが「究極の素材」として着目したのが生物の細胞。約10年前、これまで培った技術を応用すれば体外でも食用肉が作れるのではないか、と考えたが、開発には研究費が必要だ。  当時まだエシカル消費への関心は低く、周囲の研究者仲間からは「おもしろいね」「食べないけど」と受け流された。それでも竹内さんは、企業や研究機関に折に触れて「培養肉を作りませんか」と呼びかけ続けた。

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