プレゼンに効く「古代ギリシャの記憶術」の中身
スピーチやプレゼンは、できればメモを見ずにやったほうが格好がいい。しかし、数分の話ならともかく、長尺になると、なかなか全部は覚えきれない。とくに記憶力に自信がない人はそう思うだろう。しかし、それは「やり方」を知らないだけだ。ギリシャ時代から伝わる、人の記憶力を強化するとっておきの方法がある。Googleやナイキ、ハーバード大学を法人顧客に持ち、『LIMITLESS 超加速学習――人生を変える「学び方」の授業』の著者でもある脳トレーナー、ジム・クウイック氏が、大量の情報をインプットし、それを引き出すことができる究極の記憶術について紹介する。 プレゼンに効く「古代ギリシャの記憶術」の中身 メモなしで大量情報をインプットできる凄い技
■シモニデスが編み出したノウハウ 記憶力は人間のほぼすべての活動の根幹をなしている。記憶力は、人の推論する能力、先の予測を立てる能力、他者のリソースとなる能力まで制御しているからだ。 時には膨大な量の情報を、個人やグループに向けて一度に伝える能力も必要になる。役員会で業績を報告したり、知人の集まりでスピーチしたり、授業で専門知識を披露したりと、さまざまな状況が考えられる。そして多くの場合、メモを持たずに話すことが肝心になる。メモが見えると、そのテーマに十分精通していないような印象を与えてしまう。
僕はビジネス界のリーダーや学生や俳優などに、メモなしで話すための昔ながらのテクニックを授けている。ここで言う「昔ながら」とは、まさしく言葉どおりの意味。 僕が教えている、そしてここで紹介する記憶術は「座の方法」と言い、2500年以上前からあるものなのだ。 座の方法にはこんないわれがある。古代ギリシャの詩人、ケオスのシモニデスは、建物の倒壊で大勢が命を落とすなか、ただ1人生き残った。犠牲者の識別を手伝えたのもシモニデス1人だった。倒壊時に人々が立っていた場所から、どの犠牲者が誰かを思い出せたのだ。
それをきっかけに、シモニデスは、紀元前500年も今も変わらず有効な記憶のツールを編み出した。 「座(loci)」とは、ラテン語のlocus の複数形で、「特定の地点や場所」を意味する。つまり座の方法とは、あなたが覚えたいことを、あなたがよく知る特定の地点や場所に結び付けて覚える記憶術なのだ。これを僕は次のように教えている。 ■大量の情報をインプットする5つのステップ 1.プレゼンの要となる主張・要点を10個挙げる