ニューノーマル時代の次世代容器 情報化社会と結びついたスマートパッケージに意欲 その好例は移動式日本酒充填サービス 東洋製罐GHD
東洋製罐グループホールディングスの大塚一男社長は10日本社で決算発表に臨み、コロナ禍で生活の変化を余儀なくされるニューノーマル時代の容器のあり方について「スマートパッケージの時代が到来すると考えている」と語った。 スマートパッケージとは、サービスや情報と結びついたもので、その好例に少量で機能的な日本酒缶を利用したい酒蔵・飲食店様向けに展開している移動式日本酒充填サービス「詰太郎」を挙げる。
同サービスは、缶の充填設備がなくても4tトラックで充填機を酒蔵まで運んで設置して無償レンタルするもので「設備投資が困難な地方の酒蔵様に『詰太郎』を展開したところご好評をいただいている。中でもパッケージをアプリでみると酒蔵様のCMが出てくるという今の時代に即した取り組みが非常に好評で、情報化社会をパッケージとどう結びつけていくかが今後の方向性ではないかと考えている」と説明した。 容器形態では、紙容器のニーズの高まりや脱プラスチックの機運がコロナ禍で加速している点を指摘。 東罐興業厚木工場では18年5月に紙容器新工場棟を建設し「今後、紙容器の生産設備の増強がますます必要になることから現在も能力を増強している最中」という。 紙容器は、外出自粛によって紙コップの需要が減退。一方、家庭内消費の増加でテイクアウト・簡便調理・詰替えニーズの高まりでパウチ容器の需要が拡大。「米飯・レトルト・住宅用洗剤などの日用品の紙容器が非常に伸びた」と振り返った。 これを受け、21年に軟包材生産設備を増強する東洋製罐豊橋工場で対応していく。 脱プラ対応としては今年、機能性とデザイン性を兼ね備えた新しい紙製スタンディングパウチ「PA-PAUCH(ペーパウチ)」の提供を開始した。 同容器は、内容物を湿気から保護する防湿性が備わり、液体ではなく、お米やドライフルーツ、スナック菓子、おつまみなど様々な食品に活用できるのが特徴で「地方の名産品に採用され地方創生と絡めて提案している」。
そのほか家飲み需要や衛生意識の高まりにより、チューハイ・低アルコール向けのアルミ飲料用空缶や消毒液用ボトルが拡大。この中でアルミ飲料用空缶に対しては、東洋製罐石岡工場の生産能力を増強して対応していく。 ただし今後の方向性ついては全包囲の構え。「プラスチックにはプラスチックのよさがあり、プラスチックの利便性は外せない方もいらっしゃる。当社グループは素材が多岐にわたり、多様なニーズにいかに応えていくかが非常に重要」との考えを明らかにした。 なお同社の第2四半期(4-9月)業績は、コロナ禍の外出自粛でボリュームの大きい飲料容器やキャップなどが打撃を受けて前年を下回った。