Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

新型コロナ治療の切り札、ECMOの知られざる光と影

配信

JBpress

 連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第3回。新型コロナウイルス感染症重症患者の多くの命を救ったECMO。だが、「よかっただけではすまない」と讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)は警鐘を鳴らす。一般にはほとんど知られていないECMOの怖さとは。 【図】ECMO装置の構成と仕組み。「血液を回す回路」「ポンプ」「人工肺」でできている ■ 肺の機能を肩代わりするECMO  エクモ――ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)。  緊急事態宣言が解除された現在(6月3日)もなお、私の勤める自治医科大学附属さいたま医療センターのICUでは、2名の患者がECMOを使いながら新型コロナウイルス感染症と戦っています。この感染症の特徴のひとつは、重症になると長期戦になってしまうことにあるのです。最近ECMOから離脱した患者は、30日以上もECMOを回さなければなりませんでした。  ECMOは新型コロナ感染症で生死の境をさまようほど重症化した患者の多くの命を救ってきました。テレビや新聞・雑誌でも、「最後の切り札」といった形で取り上げられることが多いようです。しかし、まだ一般にはほとんど知られていない怖さがECMOにはあります。

 ECMOとは「体外式膜型人工肺」という治療法で、肺の機能を機械に肩代わりしてもらうというものです。  肺は、空気中の酸素をからだに取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を外に出す臓器です。肺の奥では、空気中の酸素が血液中に移行し、血液中の二酸化炭素が空気中に移行する、つまり、空気と血液の間で酸素と二酸化炭素が交換されています。  ECMOも同じです。脚の付け根の静脈から血液をからだの外に取り出し、膜(人工肺)を介して酸素と二酸化炭素の交換をした後、血液を首の静脈に戻します。そのため、自分の肺では酸素と二酸化炭素の交換をする必要がなくなります。こうして肺の機能を肩代わりします。  ECMOの装置は、(1) 血液を取り出し戻すまでのひとつながりの回路、(2) 血液の流れを作るための動力(ポンプ)、(3) 人工肺、でできています。もし静脈から取り出した血液を動脈に戻せば、心臓の代わりに酸素を全身に送ることができます。つまり、静脈から取り出して静脈に返せば肺を助けることになるし、静脈から取り出して動脈に返せば心臓を助けることになるのです。

【関連記事】