前田義晃・NTTドコモ社長インタビュー「銀行業を持てばお金の流れがシームレスになる」
今年6月にNTTドコモの新社長に就任した前田義晃氏が、銀行業に参入する方針を明らかにした。その狙いを聞いた。(聞き手・撮影:石川温・ケータイジャーナリスト) ◇ユーザーの使いやすさにつながる ── NTTドコモとして銀行業参入を表明した。その狙いは? ■自分で手に入れないと得られないものがあることは事実。そういう意味では、(KDDI、ソフトバンクなど)競合他社はみんな自分で銀行業を持っている。他社で提供できるサービスが、うちでは提供できないとなると、競争としてすでに劣っていることになる。ユーザーに我々を選んでもらうためにも、この状態は解消したい。 ── 競合他社に比べて、今のNTTドコモはどのあたりが「劣っている」と感じているのか。 ■私自身も勉強のためにいろいろな銀行を使っている。お金があるところ(銀行)からの動線で、サービスやモノを使うということが結構ある。その流れがシームレスだと、ユーザーの使いやすさにつながっていく。 これが(NTTドコモのように)バラバラにやっていると、なかなかシームレスなお金の流れを作れない。私自身、(NTTドコモが今年1月に子会社化した)マネックス証券を使っているが、お金が別のところにあると流れが分かりにくい。ユーザーに対してお金の起点を分かりやすく提供するには、銀行があったほうがいい。 ◇強みのエンタメを生かす ── 通信会社が銀行業を持つ具体的なメリットはどこにあるのか。 ■ユーザーに通信料金を支払ってもらう際、自前で銀行を持っていたほうが手数料の面で有利であり、減らせたコスト分をユーザーへのポイント還元に回すことができる。また、ドコモユーザーに対してだけでなく、ドコモのスマートフォン決済「d払い」での支払いに対応してくれる加盟店に対しても、自前の銀行があれば支払い手数料を低廉化できる。さらに、こちらから支払う頻度を増やせるため、運転資金を安定して回せるようになる。