安藤忠雄の建築をめぐる、東京散歩ガイド
21_21 デザインサイト/東京都港区
東京ミッドタウン北西の緑豊かな敷地につくられた、デザインをテーマとする3つのギャラリーをもつ施設。国際的に活躍するデザイナー、三宅一生氏を創立者として始まったもの。 敷地は公共空地に囲まれており、建築制限としてほとんどのヴォリュームを地下に埋める必要があった。そこで、「地下空間と連続して地上に現れる部分にいかなるかたちを与えるか――周囲の環境と一体化する〈ランドスケープとしての建築〉がひとつの主題となった」という。 折り紙を連想させる特徴的な一枚の鉄板屋根は、三宅一生氏が衣服づくりのコンセプトとして取り組んできた、平面から立体へという「一枚の布」に着想を得たもの。
国立国会図書館国際子ども図書館/東京都台東区
上野公園内に、明治39年竣工の旧帝国図書館を改修してつくられた子どもの本の専門図書館。 西欧化の流れの中で、擬似洋風建築によって建てられた旧帝国図書館。改修にあたって安藤氏が目指したのは、「旧い建物をただ凍結的に保存するのでない、その修復を前提とした、現代への〈再生〉」。 レンガ棟の地上レベルと3階レベルにガラスボックスを挿入し、主導線として機能させた。また、既存のれんが壁と現代的なガラスに挟まれたスペースを、内においては新旧を緩衝する縁側空間に、外に対しては新旧の対立的な共存を象徴する標とした。 「過去の記憶の継承の上に、現代の視点が力強く介在してこそ、真の意味での、未来へとつながる再生がなされると考えている。」と、安藤氏。
東京アートミュージアム/東京都調布市
東京調布市に2004年10月にオープンした、国内外のアーティストの作品を随時展示するミュージアム。 この施設が位置するのは、一本の道路によって寸断された敷地を有効活用すべく、地主が安藤氏に一帯の設計を託した通りの一角。そのため、全長約500mにおよぶ通りには安藤氏が設計した建築物がほかにも多く建ち並び、通称「安藤ストリート」として親しまれている。 狭い三角地に建てられた同施設だが、コンクリートの外観に設けられたスリットから差し込む自然光が内部を照らし、吹き抜けの空間を広く感じさせ、印象的なものにしている。
東急大井町線 上野毛駅/東京都世田谷区
東急大井町線上野毛駅の駅改良工事に伴う、駅舎の機能拡充計画として建築された。線路を跨ぐ上野毛通りを道路ごと覆う大屋根が特徴的。屋根の一部は円形に抜かれ、広場に象徴的な光と影を創出する。 「歩行者・電車・バス・車・自転車といった多様な交通網をひとつの大屋根で覆い、一体化することで、都市インフラの合理的な統合とともに、地域の〈顔〉となる個性的な駅前風景の創出を意図した」という。