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働く女性は増えたけれど 安倍政権、政策目標に届かず

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NIKKEI STYLE

女性の活躍を看板政策に掲げた安倍政権がまもなく終わる。2020年までに女性リーダーを3割にする目標を立て、企業や自治体も一斉に動き出した。安倍晋三首相は「政治において重要なのは結果を出すこと」と言っていた。政策効果を検証する。 「女性が輝く社会」を目指した安倍政権は勢いよくスタートした。成長戦略スピーチに続き、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも演説し、指導的立場に立つ人の3割を女性にすると世界にアピールした。 実際、女性就業率は7割になり米国を上回った。子育て期の女性の労働力率が下がる「M字カーブ」もほぼ解消した。政府が女性の活躍を成長戦略の柱に位置づけたからこその結果だ。 一方で女性の社会進出を阻むと指摘を受けてきた、所得が一定額以下なら課税所得を圧縮する「配偶者控除」や、国民年金の個人負担をゼロにする「第3号被保険者」制度は残した。働く女性の5割以上はパートなど雇用が不安定な非正規だ。 女性リーダーを3割とした目標はどうか。増えてはいる。ただ、企業の役員や課長相当職以上などの女性比率は15%にも届かず、上場企業の役員に占める割合は5.2%。国会議員は14%だ。海外では多くの国が議員の候補者や議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」を導入し比率を上げたが、日本では本格的な議論に至っていない。 仕事と家庭の両立支援は中途半端だ。就任直後、企業に3年の育児休業を求め、17年に育児・介護休業法改正で2年育休を可能にするなど海外より手厚い制度を整えた。しかし、育休の長期化で家事・育児の役割分担が固定的になり、復帰後も女性が一人でこなす「ワンオペ育児」を生んだとの指摘がある。「女性が働き続けるには男性の子育て参加が重要」と20年の男性の育休取得率13%を目標に掲げたが、19年10月時点で7.5%だ。

子供を預けて働きたいという女性が想定を上回り、追いつかなかったのが保育園の整備だ。20年4月時点の待機児童数は1万2000人。育児・家事と仕事の両立が簡単ではないという認識が広まる中、12年に1.41だった合計特殊出生率は7年で1.36に低下した。 各国は女性の登用を急ぎ、日本は遅れた。経済活動や政治への参画度、教育水準などから算出し男女平等の度合いを示すジェンダー・ギャップ指数の順位は、12年の101位から19年は121位と過去最低に落ちた。 政府は年内策定の第5次男女共同参画基本計画で指導的立場に立つ女性を「20年以降の早い時期に30%」とする調整に入った。8月末、橋本聖子・女性活躍担当相は「土台は構築されてきている。30%実現に向け、今まで以上のスピード感ではっきりとした形にしていく」と話した。 次期政権に変わっても歩みを止めてはいけない。女性登用に積極的な上場企業を選ぶ「なでしこ銘柄」の売上高営業利益率は、東証1部平均を上回っている。投資家は企業に対し、役員に女性を登用するよう求め始めた。多様性が革新を生み出し、危機管理能力を向上させることはもはや国際社会の常識だ。誰一人傍観者ではいられない。 (中村奈都子・女性面編集長)

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