シリコンバレーの大物が結集する「トランプ体制権強化」のロビー団体
ピーター・ティールのパランティアや、大手ベンチャーキャピタルのゼネラルカタリストや8VCらが支援するロビイスト団体が、米国の製造業の復活に向けての活動を開始した。 ドナルド・トランプ次期米大統領は、選挙キャンペーンを通じて米国の製造業を復活させると繰り返し述べてきたが、シリコンバレーのテック業界のリーダーらがこのビジョンの実現に向けての取り組みを開始した。12月10日に発足した「ニュー・アメリカン・インダストリアル・アライアンス(NAIA)」と呼ばれる団体は、米国の製造業の復活において重要な兵器や宇宙産業、原子力分野に取り組む企業の代弁者としてのポジションを確立しようとしている。 ゼネラルカタリストや8VC、パランティアなどの支援を受けるNAIAは、来年の上半期までに政策や立法に関する提言を開始する予定で、イノベーションの妨げとなる規制の緩和や、製造業のスタートアップへの政府支援の拡充を目指している。 ゼネラルカタリストのグローバル・レジリエンス基金を率いるポール・クワンは、この団体の取り組みが「これまでとは異なるアプローチだ」と述べて、「製造業の変革を目指すならば、資本とイノベーションと政治が交差する場所に身を置く必要がある」と語った。 NAIAのメンバーたちは、関税の引き上げやイーロン・マスクが推進する政府効率化省(DOGE)などの次期トランプ政権が掲げる目標と、彼らの優先事項が一致すると考えている。NAIAのアドバイザー役には、複数の1期目のトランプ政権の関係者が名を連ねており、その中には元大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)のナディア・シャドローや、次期副大統領のJ.D.ヴァンスと共に保守派の政治団体のロックブリッジ・ネットワークを立ち上げたクリス・バスカークが含まれる。 「私たちは、テック業界の基本的なレベルでイノベーションを起こし、それを製造業に取り入れる必要がある。トランプ大統領が掲げた政策が米国の復興に貢献することを確信している」とバスカークは述べた。彼は、ESG投資(環境や社会、企業統治を重視する投資)に反対する立場をとる投資会社の1789 Capitalを運営しており、先日はトランプの長男であるドナルド・トランプ・ジュニアをこの会社に迎え入れていた。 一方、現在は保守系シンクタンクのハドソン研究所でシニアフェローを務めるシャドローは、トランプの新政権による規制緩和が「より多くの工場で、より多くのものを、より高い水準で、より低コストで生産することにつながると期待している」と付け加えた。 ■サム・アルトマンらも賛同するロビー団体 NAIAのCEOを務めるオースティン・ビショップは、この団体が「本質的に超党派だ」と主張したが、バイデン政権の関係者が参加しているかという質問には回答を拒否した。