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韓国で過激化する「ネット中傷」…感染者追跡アプリが通知する個人情報が仇に

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クーリエ・ジャポン

個人情報がアプリで漏洩

コロナ禍の韓国で、SNS上での誹謗・中傷やフェイクニュースの問題がさらに激化していると、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。きっかけとなったのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策で導入された感染者追跡アプリだ。 キリスト教徒であるキム・ジソン(30)さんは、2020年初頭に新型コロナに感染。すると、追跡アプリによってキムさんの年齢、性別、通っている教会の名前や最近の行動などが、ユーザーに通知された。 こうした情報をもとに、ネット上でヘイトの拡散や、嫌がらせ行為などをする「荒らし」が、キムさん個人を特定。「カルトの信者だ」「彼氏がいるのに教会の他のメンバーと浮気をしている」「セックスを餌に男性信者を勧誘している」といったデマが一気に広がった。キムさんは当時の心情を次のように語る。 【画像】韓国で過激化する「ネット中傷」感染者追跡アプリが仇に…「売春婦」「カルト信者」と罵られ 「なぜ、病気にかかった人を笑いものにするのかと、ショックで言葉が出ませんでした。騒動が起こった当時は入院していたので、反論することもできませんでした」 キムさんは退院後、複数の大手ウェブサイトに彼女に関する偽の情報を削除するように求めた。だが、その数のあまりの多さにすべてを追跡することをあきらめたという。

感染者追跡アプリが中傷を助長

新型コロナの感染が拡大するなか、韓国ではスマホの位置情報やクレジットカードの取り引き記録、監視カメラの映像などを紐付けた感染者の追跡アプリが次々と開発された。こうしたアプリを活用し、すばやく感染者を特定して隔離する対策が功を奏し、初期段階で韓国は感染者数を低く抑えることに成功した。 だが、アプリのなかには、感染者の国籍や年齢、性別、行動履歴や勤め先といった個人情報をユーザーに通知するものもあり、それがネット中傷の火に油を注いでしまった。 ある感染者は、カラオケに頻繁に通っていたことから「売春婦」と罵られ(韓国には接待サービスを提供するカラオケ店もある)、 感染者が訪れた飲食店は「呪われた店」のように扱われた。 2月に始まったキムさんへの中傷はいまだに続いており、影響はキムさんと同じ教会の信者であるキム・ドンヒョンさんにも及んでいる。彼も新型コロナに感染したため、キムさんの浮気相手だと中傷されたのだ。キム・ドンヒョンさんが勤める会社は彼の感染発覚後に閉鎖され、他の社員も隔離を強いられた。「そのときの罪悪感は、コロナにかかっていたときの痛みよりも辛かった」と彼は言う。

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