「富士山大噴火」で“東京ドーム約800杯”分の火山灰…噴火の衝撃以上に「二次災害」が江戸時代の人々を苦しめ続けた理由
火山噴出物は東京ドーム約800杯分
噴火は16日間で終 わった。これだけの大爆発であるため死者がまったく出なかったはずもないが、記録でははっきりした数はわからない。だが、灰や軽石などの火山噴出物は10億トン。東京ドームのおよそ800杯分という想像を絶する量である。人々に与えた被害は甚大だった。 「噴火の直接的被害よりもむしろ、2次災害の方が大きかった。この辺りでは麦と米を作っていますが、20センチでも火山灰が積もれば、もう全滅です。11月末ならば麦の作付けも終っていた頃ですが、それもだめ。灰が降った地域は、その後何十年も草木のまったく生えない不毛地帯になってしまいました。農作物が育たず、何度も飢饉が起きています。 火山灰を除去しても捨てる場所がないので川に流すしかない。そのため酒匂川などの川底に火山灰の泥が積もり、大雨のたびに氾濫しました。治水事業が終わるまで30年以上も洪水に悩まされることになります」(前出・金子節郎氏) *** ひとたび噴火すれば、ありとあらゆる最悪の状況が起こりうる富士山。第1回【前兆は2度の「M8級大地震」だった…歴史上“最新”の「富士山大噴火」の地獄絵図 「黒雲が空一面を覆い、蹴鞠ほどの火山岩が降り注いだ」】は、1707年の「宝永大噴火」前に“予兆”として発生していた大地震や、噴火直後の様子について伝えている。 デイリー新潮編集部
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