2007年開港直後から問題視されていた務安空港滑走路…22年着工の拡張工事は進捗率70%、来年完工の予定だった
【NEWSIS】全羅南道の務安国際空港で181人が乗る旅客機が墜落して大規模な人命被害が生じる中、務安空港の長年の宿願であった空港滑走路拡張工事が完工間近の時点で惨事が発生したことから、一段と残念がられている。 【写真】土ぼこりを上げながら猛スピードで滑走 胴体着陸直後のチェジュ航空機
29日に全羅南道が明らかにしたところによると、務安空港は「北東アジアのハブ空港」という開港当時のビジョンと位置付けにふさわしい空港競争力強化のために、2025年中の完工を目標として滑走路を北側へ延長する事業を3年かけて進めている。 事業費492億ウォン(現在のレートで約53億円)を投じ、既存の2800メートルの滑走路を3160メートルに拡張する事業で、現在の工程の進捗は70%の水準だ。滑走路の幅は45メートル。滑走路の長さだけを見ると、仁川国際空港(3700メートル)、金浦国際空港(3600メートル)より短い。 全羅南道は、3000メートルに満たない短い滑走路では貨物主力機種であるボーイング747の利用に難があるだけでなく、航空物流産業の誘致においても重大な障害として作用することは避けられないと判断、07年の開港後から粘り強く滑走路の延長を建議してきた。 実際、滑走路が短いので「安全事故の防止」等を理由に400トンを超える航空機の運航は制限され、米州路線の貨物機(総重量500トン前後)の離着陸は事実上困難な状況だった。 10年からメガイベントのF1(フォーミュラワン)大会が開かれるようになったが、長距離路線の航空機は「航空燃料が重たいので、滑走路が短い務安には着陸できない」といい、F1を通した務安空港活性化も空振りに終わっている。 全羅南道は開港翌年から、国土交通部(省に相当)と企画予算処をたびたび訪れ、国際空港という位置付けにふさわしい施設拡張を建議したが、事業費確保の優先順位はいつも低く抑えられた。実施設計と着工は、開港から14年を経た22年に、遅まきながらようやく行われた。 全羅南道は、来年に滑走路の延長が終わり、さらに地方空港では唯一となる空港旅客ターミナルとまっすぐ連結される高速鉄道(湖南高速鉄道第2段階)事業が完了すれば、名実共に韓国西南部の「関門」たる空港として飛躍できるだろう-と期待していた。しかし大惨事により、事業の時機を逸した嘆かわしい状況に置かれることになった。 航空専門家らは「滑走路が長ければ、非常着陸時の制動距離が長くなるのは当然」としつつも「着陸は当日の風向きや風の強さなどを勘案して常に流動的である上、バードストライクやランディングギアなどの点が挙げられていることから、正確な追加調査が必要だろう」と慎重な反応を示した。 29日の事故は午前9時7分ごろ、バンコク発務安行き済州航空7C2216便の旅客機が着陸中、滑走路を逸脱して南端の壁に衝突し、爆発したことで発生した。 現在までに搭乗者181人(乗客175人、乗員6人)のうち80人が遺体で発見され、生存者2人は病院へ搬送された。残る99人は行方不明扱いになっている。 ソン・チャンホン記者