ストレスで心臓バクバク…日本兵2万2000人が死亡した「硫黄島」地下壕の「知られざる状況」
【Q】硫黄島の地下壕の状況を教えて
なぜ日本兵1万人が消えたままなのか、硫黄島で何が起きていたのか。 民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査したノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が発売たちまち12刷と話題だ。 【写真】日本兵1万人が行方不明、「硫黄島の驚きの光景…」 普段ノンフィクションを読まない人にも届き、「イッキ読みした」「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。 ここでは、硫黄島に関する疑問・質問に答える。
【A】映画ランボーとは似て非なる地下壕でした
土日は歴史関連を取材をする自称「旧聞記者」は、無類の映画好きです。取材がない週末は、映画を観て過ごすことも少なくありません。そんな中、先日鑑賞したのがスタローン主演のシリーズ最終作とされる「ランボー ラスト・ブラッド」(2019年公開)でした。 ※以下、映画の一部ネタバレ含みます。
映画のコピーは「史上最強の頭脳戦」
キャッチコピーは「史上最強の頭脳戦が今、はじまる――」。幾多の戦闘をくぐり抜けてきた主人公ランボーは今作でも「1人対大勢」の戦いに臨みますが、その「最強の頭脳戦」と表現された戦い方を観て、思いました。 「まるで硫黄島守備隊の戦術と同じじゃないか」。
壕の総延長「18キロ」米側の死傷者、日本側を上回る
硫黄島守備隊はどのような戦術だったのか。それを伝える在島通信隊発の電報が残っています。以下の内容です。 「本戦闘の特色は、敵(米軍)は地上に在りて、友軍(日本側守備隊)は地下に在り」――。 C・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」でも描かれた通り、地下壕を拠点に姿を見せることなく迎撃する日本側守備隊は、米軍上陸部隊を大いに苦しめました。硫黄島の日米戦は、先の大戦で米軍が攻勢に転じて以降、死傷者数が日本軍側を上回った希有な戦場となったとされています。 米軍上陸前に守備隊が築いた地下壕の総延長距離は「18キロ」にも及んだと伝えられています。ただ、地下壕の出入り口の位置に関する記録は限定的です。米軍は戦後、硫黄島を基地化する一環で壕口を「しらみつぶしに爆破するなどした」(旧厚生省の報告書)とされていますから、今後も全容が解明されることは恐らくないでしょう。実際、戦後70年以上たった今なお、地下壕の「新発見」が続いています。