ホークス期待の大砲候補は愛されキャラ? 恩師が明かす若鷹戦士の沖縄尚学時代
愛されキャラの覚醒へ期待膨らむ
持っているポテンシャルは光るものがあるが、ムラっけがある。そんなリチャードを試合に起用し続けたことを「どうしたら上へ這い上がれるか本気で考えていたかもしれないです」と少し後悔している様子もあったが、試合に出続けていたからこそ、ムラっけが無くなってきたという。 「エラーや凡退の経験が多いほど、『やらないといけない』となると思うんです。その点、リチャードは周りに比べて早く試合に出ていましたので、多くの失敗を経験しました。 打点が欲しいところで取れない。周りの期待に応えられない。その結果を受けて『どうすればいいのか』と考えたと思うんです。そのおかげもあって、ムラっけが少しずつ無くなったのを覚えています」 失敗した数だけ心もたくましくなったリチャード。成長した末に甲子園には手が届かなったが、2017年のドラフトで育成ではあるもののNPBの世界に飛び込む。 支配下登録を目指して奮闘を続けてきた最中で、2019年の秋に王会長に直接指導を受けたことをはじめ、アジア・ウインターベースボールリーグでの活躍などで注目度が急上昇。そして2020年には支配下登録を勝ち取り、背番号52に変わった。 2021年に1軍初ホームラン、2022年は開幕1軍スタートとレギュラー奪取に向けて、あと少しという立場まで来ている。そんな教え子の成長ぶりに「周りに恵まれていると思います」と周りの環境があってのものだと比嘉監督は感じられているようだった。 そのうえで、「当たり前だと思わずに、感謝してやってほしいですね」と教え子に釘を刺したが、こうした機会をつかんだのはリチャードの人柄も関係しているだろう。 「彼は年上にも良い距離間で接することができるので、人懐っこいところがあります。それで怒らせるくらいなんですけど、憎めないんですよ」と少し頬を緩めながら比嘉監督は話す。 平たく言えば愛されキャラ。憎めない器を持っている選手だから人を惹きつけ、偉大な先輩たちからも指導を仰ぐことができたのだろう。 育成時代を含めてプロ5年目に突入。1軍はもちろんファーム、さらには3軍と数多くの成功と失敗を重ねたはずだ。その数だけ成長を続けてきたであろうリチャードは、いったい、いつ覚醒するのか。期待の若鷹が球場に数多くのアーチを描く瞬間を心待ちにしたい。 (取材=編集部)